ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は世界に飛び出した元ひきこもりの尾形康仁です。

尾形康仁 Ogata Yasuhito(通称:とんぼ)

千葉県成田市出身。

ジブリ映画「魔女の宅急便」に出てきた男の子に昔は似ていたことから「とんぼ」と呼ばれています。(今はずいぶんサイズが…)

スポーツ、オンラインゲーム、一人カラオケが好きという多趣味なとんぼ。サッカーは小学校から12年間続け、他にもバスケや水泳も得意。最近は黙々と1人スケボーの練習をしています。

「信長の野望」や「三国志」のゲームが好きで歴史おたくでもあります。人前で歌うことが苦手すぎて高校生の時にはじめた1人カラオケは、今では人前でばっちりパフォーマンス付きで歌える腕前の持ち主。最近はRADWINPSと米津玄師にはまっているそうです。

先月(2018年3月)に帰ってきた第96回クルーズにスタッフとして乗船していました。そして4月からはピーセンおおさかの責任者として働いています。

ひきこもり生活はパラダイス?

僕はひきこもりでした。きっかけは高校を卒業してしまったこと。大学受験も就職活動にもことごとく失敗して、とどめにサッカー部の引退試合で骨折。そのまま卒業をむかえ、外に出る理由を失ってしまった僕は楽しいひきこもり生活をスタートしました。

そうです。ひきこもり生活は結構楽しかったんです。インターネットとゲームにどっぷりはまってバーチャルの世界で自分の理想の世界をつくる。僕にとってのパラダイスです。そんな世界に入り浸る僕には「仕事を探そう」とか「友達と遊ぼう」なんて理由じゃ外の世界に出ていこうと思えませんでした。

それでも、このひきこもり生活を終わらせてくれるスゴイ理由を探していました。

地球一周のためなら外に出られる!

ひきこもったままの僕をやさしく見守っていてくれたのは母です。彼女の夢は地球一周すること。あこがれのピースボート地球一周クルーズのパンフレットを僕に見せながら話す楽しそうな母。何度も何度も聞いているうちに僕が地球一周してみたくなりました。外の世界どころか地球に飛び出すスゴイ理由が見つかりました。

地球一周するには当たり前ですが、まず家から出ないといけません。ピースボートセンターでおこなわれているクルーズとボランティアスタッフについての説明会に出席するため、じつに1年半ぶりに家から出ました。久しぶりに太陽の下を歩きました。

そして3週間後にはピースボートの近くにあるシェアハウスでの生活をはじめ、多くの人たちに囲まれてボランティアスタッフ活動をしていました。1年半のあいだ自分の世界だけで生きていたのに、地球一周というスゴイ目標をみつけた直後の1か月で僕の生活は激変しました。

もう一度人を信じるきっかけをくれた船旅

カンボジアで伝統楽器に挑戦

クルーズでは年齢が10~20才ほども違う友達や大切な仲間ができたことが一番の思い出です。ひきこもり生活をする中で、人に対する向き合い方がわからなくなり人を信じられなくなっていました。ボランティアスタッフをしている時は多くの人に出会えたことで、人に対して関心を持つことができました。そして、船に乗ったことで人を信じ、尊敬できるようになりました。

サルサダンスからはじまった恋

カラフルな街並みがかわいい世界遺産、ノルウェーのブリッゲン地区で食べ歩き

僕が地球一周クルーズで一番印象に残っているのが韓国から来たある女の子との出会いです。クルーズがはじまってすぐにあった船上パーティーで、初対面だった彼女とサルサを踊ることになりました。そしてそのまま僕は恋に落ちてしまいました。

同じクルーズに乗っているので彼女とは地球一周中ずっと一緒です。国籍を超えて深く話をするはじめての経験でした。国、国籍、国境、言語の壁がある「外国の人」は自分とは違うと思っていたけど、それは自分が作り出した壁があるだけでした。人と人とのつながりで精神的な国境はなくせることをこの恋が教えてくれました。

 

僕の部屋で涙した親友

僕がボランティアスタッフ時代に参加したもう一つのクルーズ、Peace&Green Boatでの出会いも僕にとっての宝物です。このクルーズはピースボートと韓国のNPO「環境財団」が共同でコーディネートする船旅で、参加者は日本と韓国から半分ずつ乗ってきます。

このクルーズでは韓国の男の子と仲良くなりました。ある日、特に深い意味もなく彼を僕の船室に誘いました。そして部屋にやってきて楽しく話をしていたら、突然彼が涙を流したのです。オロオロする僕に彼は言いました。

「韓国では親友の中の親友しか自分の部屋にいれない。君が部屋に招いてくれてうれしかった」

僕と親友になったことをこんなにも喜んでくれたことに僕もうれしくなりました。そして、僕たちは親友になりました。

それと同時に文化の違いを体感した瞬間でもあります。ぼくたちはお互い知らないことがいっぱいあって、もっと知ることでもっと好きになれるしもっと関心を持つことができると気づきました。

僕が船を出す理由「おもしろい世界がある」

自分の世界に閉じこもって世の中はつまらないとぼやいていた19歳の時、たまたま知った地球一周。出会う人、見えた景色、知らない世界を体験して、おもしろいな!と思う世界が増えてきました。

つまらない日々を過ごしてると思っている若者や過去の僕のような生活をしている人には「生きている世界は意外とおもしろい」と感じてほしいと思っています。だから僕は今ピースボートで働いています。地球一周に参加してみたいと思ったら、ピーセンおおさかに来てください。僕がお手伝いします。

ひきこもりのゲーマーからアウトドアなゲーマーへ

僕は自分を否定したくないと思っています。ひきこもっていた頃の経験も大切な僕の一部です。地球一周を知ってから僕の生活は激変しましたが、実は性格や趣味はそんなに激変していません。相変わらず僕はゲーマーです。ただ内から外に目を向けられるゲーマーになりました。

自分の中身は少しずつ変えていくのが心身にちょうどいいんだと思います。

少しずつ、少しずつ……です。

 

 

Interviewer:Morita SACHIKO