【地球を旅するピースボートスタッフがみる「世界」】マダガスカル・南アフリカ・ナミビアでの体験が「豊かさ」について考えるきっかけをくれた
「地球一周の船旅」を出し続けることで地球を楽しみ、世界中の人々と出会い、文化・歴史を学び、紛争・環境・人権問題などグローバルな課題に取り組むピースボートスタッフが、ごく個人的な視点と興味でつづります。
こんにちは。ピースボートスタッフの平林ヒロ昂我です。僕は、2018年の冬に出航した第100回ピースボート地球一周の船旅に乗船していました。今日はその時訪れた、アフリカの国々で感じたことを綴りたいと思います。
マダガスカル ―雄大な自然とそこに暮らす人たち―
まず、アフリカ大陸に上陸する前に訪れたのがインド洋に浮かぶ島、マダガスカルです。実はこのマダガスカル、島の大きさは日本のおよそ1.6倍もあり世界で4番目に大きな島でもあるんです。
寄港したのはエホアラという港なんですが、見ての通り港の周りには何もありません。ほとんどの港は、船を降りたら目の前が市街地だったり観光地になっているので、入港した時「なんもね〜!」と思ったのを覚えています(笑)。逆にワクワクしました。ついにアフリカまで来たんだな〜って。
1日目は、子どもたちとサッカー交流するツアーに参加しました。そこは様々な事情で親と離れて暮らす子どもたちが生活する孤児院のような場所でした。お昼ごはんにもお邪魔して子どもたちと一緒にランチタイム。
いっしょにお昼ごはんを食べた後、近くの浜辺でサッカーをしたんですが、すごく楽しそうでいきいきとしているんですよね。一緒に遊んでいるこっちが逆に元気をもらうぐらい。
実際に訪れるまで、僕の中でのマダガスカルはいわゆる「貧困国」のイメージでした。現に飢餓や物資の不足、衛生環境など直面している問題はあるわけですが、こうやっていきいきと暮らしている子どもたちを見ていると、「果たして豊かさとはなんなのか?」と考えられずにはいられませんでした。
ツアーが終わった後は自由行動で行くあてもなくぶらぶら。夜は少し高台になっているところから船を見下ろし、満点の星空の下で仲間と語り合ったのを今でもよく覚えています。
そんなこんなで2日間マダガスカルには滞在。今回は割愛しますがここではたくさんの人たちとも出会いました。日本から遠く離れた地で、見るもの全てが新鮮でした。実際に行って肌で感じる、変え難い体験の全てが僕の宝物です。
南アフリカ ―アフリカ大陸、ついに上陸!―
続いて訪れたのが南アフリアのポートエリザベス。ついにアフリカ大陸上陸!マダガスカルのエホアラとは打って変わって結構栄えています。今回は現地の観光案内所でサファリ&タウンシップの車窓観光ツアーを取りました。バスに乗りいざサファリへ。街から少し離れると地平線まで続くアフリカの大地が広がっています。
今回訪れたのはアドゥ・エレファント国立公園。アフリカの国立公園って、とにっっかく広いんです、広すぎて動物を見つけるのが大変なぐらい広いんです(笑)。でもそんな中でもしっかりと動物を見つけるガイドさん。それもそのはず、視力がなんと7.0以上!!おかげで僕たちもしっかりと動物を見ることができました。
サファリの後はポートエリザベス近くまで戻りそこから近くのタウンシップへ。南アフリカではかつてアパルトヘイトという人種隔離政策があり、法律の下で差別が容認されている時代がありました。その時、南アフリカ各地に作られた黒人居住区がタウンシップです。
ピースボートのツアーで「ソウェト」というタウンシップに行くツアーがありますが、今回はソウェトとは別のタウンシップ。治安的に車から降りるのは難しいとのことで車窓観光のみでした。港の周りや次の寄港で訪れるケープタウンとは雰囲気がまるで違い、トタン小屋のような家が延々と続いていました。
アパルトヘイトの制度自体はすでに撤廃されていますが、制度がなくなったからといってすぐに差別や貧困がなくなるわけではありません。のちに訪れたブラジルのファベーラ(スラム)でも感じたことなのですが、貧困のサイクルから自力で抜け出すのはとても困難です。
だからこそ多くの人がそこで起きていることを知り、声を上げ、貧困のサイクルから抜け出せる環境を一緒に考えていく必要があると思います。
ナミビア ―最古の砂漠と無音の世界―
南アフリカの港を後にし、アフリカ大陸の最後に訪れたのがナミビアでした。ナミビアは国土のほとんどが砂漠、または土漠です。この日はレンタカーを借りて車を走らせナミブ砂漠へ。
一言で言って感動しました。
音がないんです。日本で普段生活していて、生き物の気配や音が全くないなんてことまずあり得ないですよね?でもこのナミブ砂漠は限りなく「無音」なんです。吸い込まれそうな青空と地平線まで続く砂漠がひたすら続いています。
「ナミブ」というのは現地の言葉で「広大な場所」「何もない」という意味なんだそう。またナミブ砂漠は世界最古の砂漠でもあります。遠い昔、この地を「ナミブ」と名付けたひとはここで何を思ったのでしょうか?どこまでも広がる砂漠の中で、自分が生きていることを実感した瞬間でした。
「豊かさ」は誰かの犠牲の上に成り立つものじゃない
そんなこんなでアフリカを旅してきましたが、「豊かさ」ってなんなんだろう?と改めて考えさせられました。厳しくも美しい自然、そこでいきいきと暮らす人々。それと同時に肌で感じた貧困のサイクル。大量生産、大量消費の世界でグローバリゼーションがもたらす影響。いろんな側面を感じることができたのがアフリカでした。
僕の中で「豊かさ」の答えはまだ出ていません。ただ、それは誰かの犠牲の上にあるべきものではないと思います。
出会いの数だけ気付きがある。考えるきっかけをくれた雄大な大地と多くの出会いを噛み締めながら、これからも旅を続けていきます。
ピースボートスタッフ 平林ヒロ昂我
2021~2023年12月出航のピースボートはアフリカ大陸を訪れます。くわしくはリンクのページをご覧ください。
ピースボート地球一周の船旅 2021年12月 Voyage110
ピースボート地球一周の船旅 2022年12月 Voyage113
ピースボート地球一周の船旅 2023年12月 Voyage116