こんにちは。ピースボートスタッフの関美衣です。
7月4日に「ANIMAL奇想天外」というタイトルで、勉強会を行いました。これから船に乗ることを目指すボランティアスタッフのみなさんに向けてお話をさせてもらいました。
その内容をブログでも紹介します。
ピースボートセンターで勉強会「ANIMAL奇想天外」
私は、小さいころから動物が大好きで、何か動物に関わるお仕事がしたいと動物の専門学校へ通い、動物看護師として働いていました。
その後、世界を見てみたいという夢もあり、仕事を辞めてピースボートに乗船し、現在はスタッフとして関わっています。
今回の勉強会では、動物看護師として働いていた経験や、最近乗船した ピースボート地球一周の船旅 Voyage116(2023年12月~2024年3月、南半球周り)の経験を元に世界と動物の繋がりを話しました。
「動物」とひとくくりに言っても、それぞれイメージは違うと思います。犬や猫を思い浮かべたり、動物園や水族館にいる子たちを思い浮かべるかもしれません。
皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?
動物と出会うピースボートの船旅
まずは、ピースボートの寄港地や船で出会える可能性のある動物たちの紹介から。
イースター島では、紐に繋がれた馬が港の目の前、モアイ象のすぐそばに居ました。日本でいうと、玄関前に繋がれている犬のようでした。
マダガスカルでは、寒さに震えて身を寄せ合うワオキツネザル。この時は、雨が降っていて比較的寒かったのです。
そして、地面を横切るカメレオン。ちゃんと地面に生えている草と同じ緑色に身体の半分の色が変わっていました。
南米の最南端に位置していて寒いウシュアイア(アルゼンチン)と、温暖な気候のケープタウン(南アフリカ)にもたくさんのペンギンたちがいます。
なぜこんなにも気候の違う場所で生きていけるのか不思議でした。ケープタウンは暖かい気候なのですが、この場所はイワシがたくさんいるので、ペンギンたちが住みついたそうです。
しかし、近年ペンギンの数が減っています。環境の変化や海洋汚染が原因で、食糧となるイワシが減っているためです。
野生の動物を見に行くときは、お邪魔させてもらいに行く感覚でストレスをかけないように行きましょう。
南アフリカでは、サファリのツアーにも行きました。ゾウ、キリン、サイ、シマウマ…運もありますが、ガイドさんに連れていかれ、様々な動物に出会うことが出来ました。
ヨーロッパでは、サントリーニ島(ギリシャ)でロバが交通の手段になっていたり、ポルトガルでは馬車が道の真ん中を通っていたり、大きな馬が活躍していました。
そして、船で出会える可能性がある動物と言えば…、イルカや鯨です。
どの海域に、どんな種類の子がいるかネット等で調べると出てきます。乗船前に調べていってもおもしろいかもしれません。日本の周りにも生息地があります。
ピースボートクルーズの様子をお伝えしているYouTubeの公式チャンネルでは、船から見えたイルカのことも紹介していました。
イルカがいっぱい!&洋上運動会準備レポート!第101回ピースボート
街角で出会える犬・猫
次に紹介するのは、犬や猫です。
ピースボートでたくさんの地域を旅していると、野良犬や野良猫に出会うことがとても多くなります。日本と世界との違いを感じる一つのポイントかもしれません。
日本は、法律で野良犬は保健所に連れていくように決まっているので見かける機会はあまりないですね。
日本で犬を飼う場合、ペットショップへ行く人が多いかと思います。しかし、海外にはペットショップで生体を販売している場所はほとんどありません。動物福祉が進んでいる国では、虐待とみなされるからです。
動物に関する法律が定められている地域もあり、イタリアのトリノでは、1日に3回以上犬の散歩をしないと罰金が定められています。米国やイギリスにはアニマルポリスと呼ばれる動物の警察官が存在します。
日本での常識が、海外での非常識に当たることが多々ある一例です。
絶滅の危機にある動物たち
2021年、国際自然保護連合(IUCN)は現在約4万種の野生生物が高い絶滅の危機にあると発表しました。この数字は20年で4倍近くになっています。
全体の半数以上の約2万1,200種については、農業・畜産業・漁業などによってもたらされた環境の変化が絶滅危機の理由となっています。また、約1万7500種が伐採、乱獲、密猟などの影響を受けています。
昨年、南アフリカを訪れた際にゾウを見ました。アフリカに生息しているアフリカゾウの推定個体数は、1979年は134万頭とされていましたが、2016年にはおよそ42万頭まで減少。およそ31%までその数を減らしています。
ゾウも絶滅危惧種です。高値で売買されるゾウの牙「象牙」を求めて密猟する人が後を絶ちません。かつては日本が象牙の一番の輸入国でした。印鑑や彫刻品として飾られていたのです。
現在、象牙の取引はワシントン条約と国内法に基づき規制されています。そのため原則として、日本と海外間の輸出入、日本国内の取引は禁止されています。
ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物を、過度な商業取引から保護するために生まれた条約です。
海外で起こっている出来事と私たちは無関係ではありません。世界で起こっている出来事を少しでも身近なことと考えていただければ嬉しいです。
密接につながっている動物と私たちの関係
日常生活で言うと、私たちが使っている薬などの効果を検証したり、人体に悪影響が無いのか確認しなければいけないようなものは、事前に動物実験が行われていることが多いので、動物が関わってきます。
多くの野生生物が暮らしている南米のアマゾンでは、森林火災が増えています。人が伐採を進めることで森林火災が起こりやすくなっています。
また、火災などで燃えてしまったあとの土地は規制の対象外になるため、牛肉のための牧草地や大豆畑として土地を使いたい業者や大地主が原生林に火を放つことも横行しているそうです。
森林が無くなるということは、生物多様性の減少や多くの動植物種が絶滅の危機にさらされます。また、大気中の二酸化炭素の吸収量も減少している状況が続いており、気候変動の悪化への影響も及ぼしています。
なので、今日本に住んでいる私たちにも関係はしっかりあるのです。
人と動物が共生して暮らしている場もたくさんあります。人によって見方はあるかと思いますが、動物と人が共に生きている場も紹介します。
アニマルセラピーという言葉をご存じですか?アニマルセラピーとは、動物とのふれあいによって人の心に癒しを与えることです。
ストレス解消になるだけではなく、認知症やうつ病などの症状改善も期待できるとして、医療や福祉などさまざまな分野で取り入れられています。ドッグセラピー、キャットセラピー、ホース(馬)セラピー等があります。
働く犬たちでお伝えすると、盲導犬や危険探知犬、牧羊犬等多岐に渡ります。人は昔から、色んな方法で一緒に動物たちと共生してきたのです。
ピースボートで動物のことを学ぶ
ピースボートでは、動物たちのことをもっと深く知れる機会がたくさんあります。実際に動物たちと会うことも一つですが、船内で学ぶ場もあります。
ピースボートには水先案内人と呼ばれるゲストの方々が乗船して講演会をしてくれます。
私が乗船した Voyage116 ではケニア政府公認の日本人サファリガイドの加藤直邦さんが乗船されていて、講座の中でサファリの楽しみ方を余すことなく教えてくださいました。
その後、ポートエリザベス(南アフリカ)のサファリに行く事が出来たのでとても楽しめたのが印象に残っています。その土地に行く前に、知識をつけることができるので楽しさも倍増でした。
同じ地球に生きている動物同士なので、少しでも関心を持っていただければ嬉しいです。「動物」という視点から世界のお話をしてみました。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
ピースボートスタッフ 関美衣