夜光政幸「僕は自閉症スペクトラム障害です」

30人に1人といわれる、発達障害とは?

ボランティアスタッフの夜光政幸さん(通称:しゃもじ)がピースボートセンターおおさかで勉強会を開催しました。しゃもじは発達障害の1つである自閉症スペクトラム障害を抱えながら生きてきました。まだまだ認知度の低い障害のため、まずは社会に正しい知識を持ってもらい、一緒に生きていけるような社会をつくりたいとの想いから、自閉症スペクトラム障害の紹介や、自身の経験について語ってくれました。

勉強会に参加しなかった方にも是非知っていただきたい内容なので、勉強会でも話されたしゃもじの想いを書いてもらいました。

自己紹介

<中央がしゃもじ>

初めまして。2019年4月に出航する101回クルーズに乗船する夜光政幸と申します。あだ名はしゃもじと呼ばれています。

元々自宅が横浜で、今年の11月まで横浜と東京のピースボートセンターでボランティアスタッフとして活動をし、旅行代金の99万円全額割引を貯めました。ピースボートセンターおおさかには9月から10月までの1カ月間滞在し、主にポスター貼りをしていました。

好きな言葉は”他人の生き方に影響を与えてこそ、人生は意味を持つ。”(元メジャーリーガーのジャッキー・ロビンソンの言葉)です。

今回スタッフさんの熱い要望もあり、12月6日に自主企画の勉強会をしました。タイトルは「僕は自閉症スペクトラム障害です」ということで、自閉症スペクトラム障害に関する発信をさせていただきました。

自閉症スペクトラム障害とは?

自閉症スペクトラム障害とは、先天性の障害から起こる発達障害の中のひとつで、対人関係が苦手・強いこだわりがあるなどの症状が見られる障害です。日本の子どもの約30人に1人がこの自閉症スペクトラム障害と言われ、僕もこの障害を抱えながら生きています。

この障害の主な特徴は、

1. 自分が思ったことを本音で言ってしまい、人間関係がうまくいかない。
2. 場の空気を読むことが難しい。
3. 自分だけのこだわりが強い。
4. 二つの作業などの同時進行が難しい。

というものがあります。

社会的コミュニケーションや日常生活での対応が困難なため、特に学校生活や職場などで当事者の方は生きづらさを感じています。僕も約20年間日常生活において生きづらさを感じ、色々な経験をしてきました。

勉強会ではこの自閉症スペクトラム障害のこと、僕の過去のこと、当事者としての意見などを話させてもらいました。

今回の自主企画を終えて

ピースボートセンターのメンバーの方々と仲が良かったということもあり、当日はスタッフさん含め沢山の方が来場しました。最後までご観覧いただきありがとうございました。

途中映像がうまく流れなかったり、僕自身原稿を読まないと進行しづらい部分が多々ありました。それでも隣でサポートをしてくれたスタッフの飯島健さん、尾形康仁さんにフォローしていただいたおかげで、とても意義のある時間を皆さんと過ごすことができたのではないかなと思います。このピースボートセンターにおいて全国的にも初めてこの話題に触れることができたので、障害者のひとりとして声を上げられたことに感謝しています。

今回は自閉症スペクトラム障害に関するということで、恐らく皆さんにとってすごく難しい話題だったと思います。まだまだ日本はこの自閉症スペクトラム障害、そして発達障害の理解度や認知度が低いのが現状です。そして障害者というステータスだけで特別視されているのも現状です。

当たり前な話ですが、障害者の人は好き好んで障害になっているわけではありませんし、今の日本社会で生きていくことが困難であるとほとんどの人が感じています。

そういった人がいる中で健常者の人ができることは、

“知る責任を持つ”

ということです。

障害者の方への差別や偏見はほとんどが無知から来るものです。自分とは無関係と思い込んでいるので、無責任にそういったことをしてしまうのです。なので我々は色々な人がいるということを知らなければいけないのです。

今回の自主企画をきっかけに、僕のような障害を持った方やLGBTに関する方などが思い切って声を上げ、そういった人に対する受け皿が少しずつでも広がることを願っています。

ピースボートはただの船旅ではない

ピースボートに関わっている方はご存知の通り、ピースボートは明るく楽しい地球一周の船旅というイメージが強いです。ですがクルーズ中ずっと楽しい時間を過ごせるわけではありません。中には明るく楽しく過ごせない人もいて、人間関係の部分で悩むこともあります。

そういった中で乗船する方が有意義な時間を過ごすには、人の多様性を受け入れるということが大事です。もちろんクルーズ中は気の合う仲間と過ごしていいですし、人によって合う合わないがでて当然だと思います。しかし、「あの人とは性格が違うから」「あの人は年齢が離れているから」などの理由だけで色々な人と関わらないのはすごく勿体無い考えであると思います。

僕自身もかつては地元の人としか付き合わないような視野の狭い人間でした。海外渡航はまだ経験がなく、101回クルーズが初めてです。つまり、人間関係が狭いとその分色々なことを吸収できなくなって、幅広く行動できないんだなということに気づきました。

これからピースボートに乗船する方は、水先案内人のお話を聞くのもよし、僕みたいに自主企画をするのもよし、船内チームに入るのもよし、地球大学に入るのもよし……ということで選択肢が沢山あります。これから乗船する方はぜひ色々なことを経験して、多様性の重要さを知ってもらいたいです。

障害者という概念をなくしたい

僕は101回クルーズの船内で今回のような発表の他に、”生きる”をテーマにしたインタビュー動画を撮ります。乗船者の人がそれぞれどのような生き方をしているのかという内容の動画を撮り、こういったところでも多様性を広げていきたいと思っています。

そして101回クルーズが終わったら僕はフリージャーナリスト兼カメラマンとして活動し、夢はピースボートの水先案内人になることです。

そんな僕が今掲げているテーマは、

“世の中が抱く自閉症のイメージをぶち壊す”

というものです。

先ほど申し上げた通り、障害者の人は勝手に特別扱いされ、当事者の人もそんな世間からの目を気にしすぎてなかなかアクティブに行動できない人が多いです。なので当事者である僕がジャンルを問わず、色々な交流をし、色々な情報発信することで同じ立場の人に勇気を与えられたらなと思っています。

なぜ僕が情報発信するのかと言うと、”障害者だから〇〇することができない”のではなく、

“社会が障害者とレッテルを貼っているから、自分に自信が持てない社会なんだ”

ということに当事者の人は気づいてほしいからです。

障害者という概念を飛び越え、自分の強みを活かして生きていけるような社会構築が必要であると考えています。そのためには学校や職場など、普段我々がいる一般社会で差別や偏見が解消されなければいけないと僕は思います。

障害者・健常者関係なく、誰もが一般社会で活躍できる世の中に日本はなっていかなければならないのです。

 

ピースボートボランティアスタッフ 夜光政幸


 

勉強会に参加した人からは「これまで障害者に対してどのように接したらいいかわからなかったけど、しゃもじの話を聞くことで特別扱いせずに干渉しすぎない関係を築くことが大切だと知ることができた。」という声も聞かれました。

ピースボートはあらゆる世代、性、人種、民族、宗教や信条、身体的特徴を越えて、人々がつながりあうことのできる場づくりをめざしています。地球一周の船上だけでなく、ピースボートセンターでも多様性を大切にし、ここに集う人々が安心して意見を言えたり自身のバックグラウンドを語ることができる場所を提供できればと思います。

編集:森田幸子