みんなで手を洗おう! カンボジアの小学校でピースボート流「手洗いプロジェクト」
【SDGsとピースボートとわたし】シリーズ

ピースボートは、国連との特別協議資格を持つNGOとして、国連「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals、以下SDGs)」の達成を目指すさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。そして、わたしたち一人ひとりの行動もSDGsを意識することで、よりよい世界をつくることにつながっています。ピースボートスタッフが考える、それぞれの「SDGsとピースボートとわたし」の関係を紹介します。

こんにちは。ピースボートセンターおおさかの森田幸子です。

11月に入って秋が深まってきましたね。朝晩が寒くても昼間は暖かくなる日が多いこの頃、毎朝服装選びに頭を悩ませています。

そして、冬が近づくとまた来るんじゃないかと言われていたコロナ第8波も現実味を帯びてきました。新規感染者数も増加していますね。

そういえば皆さん、手洗いってこまめにしていますか?

コロナが問題になった当初に手洗いが重要だと言われて、それ以来こまめに手洗いを続けている人が多いんじゃないでしょうか?

手洗いはコロナに限らず、様々な病気を防ぐことができるとても手軽で有効な習慣だと思います。

今回は、私が関わっているピースボートの活動の中で、手洗いの大切さを実感したエピソードを紹介します。

カンボジアの地雷が残る村で

ピースボートはハンドメイドコスメを販売しているLUSHと協力し、世界で必要とされている場所に石けんなどLUSHの商品を届け、ハッピーの輪を広げようという「ハッピーシェア地球便」プロジェクトを行なっています。

そして2015年からは、ピースボートが地雷除去支援するカンボジア・スナハイ村の小学校に継続的に石けんを届け、子どもたちに手洗いの大切さを伝えています。

<スナハイ小学校で子どもたちと>

スナハイ村は、各地で貧しい生活をしていた人々が移住し、かつての紛争地帯であったジャングルを切り開いてつくられた新しい村です。

人々が移住をした後で、その土地が地雷原だとわかりました。ピースボートは、2010年からスナハイ村の地雷除去を支援しています。

2015年には小学校をつくるための土地の地雷除去、2016年には学校建設を支援しました。現在、200人以上の子どもたちがこの学校に通っています。

学校は安全になりましたが、村には今も地雷が残り、外からの支援もほとんどないために様々な物資が不足し、インフラ設備も整っていません。

ピースボートは村の農地や住宅地のための地雷除去を支援すると同時に、小学校を通じて文房具やサッカーボールを届けるなど、教育支援もおこなっています。そしてスナハイ村を訪れるツアーを実施し、村の人々と交流を続けています。

※ピースボートの地雷除去支援について詳しくはこちらをご覧ください。

子どもたちの健康を守る「手洗いプロジェクト」

様々なものが足りない環境で、小学校の先生たちは子どもたちの学びや安全のために様々な工夫を凝らして学校を運営しています。

学校の授業だけでなく、学校をきれいに保つための掃除やゴミ拾いを子どもたちと行なったり、手洗いの習慣を身につけられるようにトイレや遊んだ後には手を洗うよう呼びかけています。

日本では当たり前のように行なっていることですが、カンボジアの特に貧しい農村部ではこのような衛生問題は後回しになりがちです。家や学校の周辺にゴミが散乱している場面に出くわすことも珍しくありません。

また、清潔に保つ意識がないことは、身体の不調や病気にもつながります。

ピースボートはスナハイ村の子どもたちの健康のため、石けんを小学校に届けて子どもたちと交流する中で手洗いの大切さを伝えています。

このプロジェクトを初めて行なったのは、2017年8月。ピースボート地球一周の船旅の中で開催した「カンボジア地雷問題検証ツアー」の参加者が小学校を訪れ、石けん350個を引き渡しました。

この日の為にツアー参加者は、子どもたちが楽しみながらきちんと手洗いができるよう、「手洗いの歌」をつくり準備をしてきました。また、今後もその手洗いの方法を学校で実施してもらえるよう、手洗い方法を書いたポスターを作成しました。

子どもたちと交流した後、子どもたちに手洗いの歌を教え、全員で石けんを使って手洗いをしました。

手洗い習慣が村に与えた大きな変化

そして、約1年後にあった「カンボジア地雷問題検証ツアー」で再び小学校を訪れると校長先生からうれしい報告がありました。

前年に渡した350個の石けんは学校で使うだけでなく、生徒が家に持って帰って使えるようにしていました。

ラッシュの石けんはいい香りのするものが多くて、子どもたちは楽しみながら石けんを使い、少しずつ手洗いの習慣づけができるようになりました。

これまで、スナハイ村では子どもたちが体調を崩すことも少なくありませんでしたが、村の周辺には医療サービスが受けられる場所はありません。そのような環境で暮らす子どもたちにとって、手洗い習慣は健康を守る大切な方法です。

結果、この1年でこれまであった子どもたちの体調不良(主に発熱、下痢、腹痛)が半減しました。そして、子どもたちの様子を見て大人も清潔に気を遣うことが多くなったようです。

1年でとても大きな成果に結びつきました。また、子どもから始まった清潔にする意識が大人にも広がっているのは、とても大きな進展でした。

ピースボートは、その後も「手洗いプロジェクト」を続けています。

2020年からはコロナにより訪問することができなくなりましたが、クルーズやカンボジアへのツアーを再開した際には、再びスナハイ村の子どもたちに石けんを届け、一緒に「手洗いの歌」をしたいと思います。

手洗いって本当に大切ですね!

 

ピースボートスタッフ 森田幸子