4月4日は「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」です。2006年に国連によって定められました。この機会に、みなさんにも地雷問題について知っていただければと思います。

小学校のとなりにある地雷原

こんにちは。ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACを担当している森田幸子です。

ピースボートは、カンボジアで地雷除去を支援しています。カンボジア北部プレアヴィヘア州に位置するスナハイ村では、2011年から地雷除去・小学校建設の支援や子どもたちの健康を守るための手洗いプロジェクトをおこなっています。そして、ピースボート地球一周の船旅の中で開催している「カンボジア地雷問題検証ツアー」でスナハイ村をおとずれて、村の人々と交流を続けています。

2019年12月、第102回クルーズのツアーでスナハイ村に行きました。小学校で子どもたちと交流した後、地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」の方の案内で、ピースボートが地雷除去を支援している土地を見に行きました。

1ヵ所目は学校の裏。ここは1週間ほど前に地雷除去が終了した場所でした。少し前まで、学校の敷地を出るとすぐそこが地雷原だったのです。

<安全が確認された土地には、待ちかねていたように村人が作物を植えていました>

2か所目は学校の正面にある道路を挟んでほんの10mほど入ったところです。ここでは、CMACの隊員が地雷除去をおこなっている途中でした。この土地の地雷除去は2020年1月末に終了しました。

<金属探知機を使って地雷をさがすCMACの隊員>

200人以上が通う小学校のすぐとなりで地雷除去がおこなわれていました。子どもたちが近くで遊んでいます。周辺には民家や畑もあり、人々がいつも通りの生活をおくっています。そして、この場所だけでなく、スナハイ村にはまだ地雷が残っています。

地雷は決して過去の問題ではありません

「地雷ってまだあるんですか?」と聞かれることがあります。地雷問題と聞くと、過去のことと思っている方も多いようです。たしかに、昔の戦争で使われていたというイメージが強いかもしれません。でも地雷は一度埋められると半永久的に効力を発揮します。誰かが踏むか、除去をしなければ、地雷はそこにあり続けます。そのために、何十年も前に埋められた地雷で、戦争とは関係のない人々が今、被害にあっています。

長年の内戦のため、カンボジアには多くの地雷が埋められました。地雷除去は1992年にはじまり、これまでに約2,000平方キロメートルの土地の地雷除去が終わっています。いっぽうで、約2,000平方キロメートルの土地が地雷原として残っています。

地雷は決して過去の問題ではありません。

世界の地雷問題の「今」

現在、60の国と地域に地雷が埋まっています。2018年の1年間には、判明しているだけで50の国と地域で6,897人が被害にあいました。被害者の71%は戦争と関係ない市民で、そのうち54%は子どもでした。

紛争や大規模な暴力が続いている国々、特にアフガニスタン、マリ、ミャンマー、ナイジェリア、シリア、ウクライナで被害が増えています。

地雷問題については下の地雷の基礎知識(2020年最新版)で詳しく紹介しています。

少しづつ、でも確実に

<スナハイ村の子どもたちといっしょに>

除去活動は、一歩間違えれば地雷を爆発させてしまうかもしれない、とても危険な作業です。慎重な行動が必要となるために時間もかかります。それでもひとつひとつ取り除いていくことが、地雷のない世界をつくる一歩となります。

戦争が終わっても何十年と続く地雷除去。その間にも、多くの人々が地雷被害にあっています。土地はあるのに地雷が埋まっているがため、田畑を耕すことや学校をつくることができません。土地を求めて移り住んだ後で、その場所が地雷原だと知る人もいます。また、生きていくために地雷原と知りながらその土地に家を建てたり田畑をつくるしか道のない人々もいます。

少しづつ、でも確実に地雷をなくしていくために、皆さんの力を貸してください。まずは、地雷について知ってください。そして、地雷除去活動にご協力ください。

 

ピースボートスタッフ 森田幸子