
みなさんこんにちは。2025年4月に出航する ピースボート地球一周の船旅 Voyage120 に乗船予定のエドバブこと船橋誠大です。
突然ですが…あなたはこのようなポスターを見たことがありますか?
地球一周の船旅178万円(※)。 居酒屋のトイレや商店街のお店など、あちこちで見かけるピースボートのポスター。
今回の記事では、今年4月から「地球一周の船旅」に参加する私が、何やら気になるこのポスターの秘密を解説していきます。
(※)クルーズによって代金が異なります。
ピースボートのポスターは貼れば貼るほどお得に地球一周できる
インターネット広告が主流の時代に、なぜこんなにもたくさんのピースボートのポスターが貼ってあるのか、誰が何のために貼っているのか、疑問に感じたことはありませんか?
実は、このポスターは、貼れば貼るほど地球一周の船賃が割引されていくという仕組みになっているのです。
例えば、1つのお店に2枚のポスターを貼らせてもらうと、500円分の割引になります。
これを5,000~6,000枚ほど貼ると、30歳以下の船賃の最安値である129万円分の全額割引が貯まるという仕組みです。
30歳以上だと、178万円以上の部屋の半額分の割引まで貯めることができます。
(2025年2月現在の数字です。変更されることもありますので、あくまで目安とお考えください。)
つまり、このポスターを貼っているのは地球一周の船旅参加希望者で、ピースボートのボランティアスタッフとして、少しでも安く船に乗るために活動しているということです。
「って、6,000枚!?果てしないな…」と思ったそこのあなた。私は、実際にこれだけ貼って船賃の全額割引を貯めた人を何人も見てきました。そして私ももうすぐ全額割引を貯め終わります。
実際どのくらい時間がかかるか気になりますよね。
私は今年3月に卒業を控えた大学生ですが、2年前から授業がない日や長期休暇を使ってコツコツとポスターを貼りに行って割引を貯め、現在120万円分ほどの割引が貯まっています。
乗船前に船賃の全額割引を貯め切る「全額クリア(以下全クリ)」予定で、大学を卒業してから船賃実質0円で船に乗ります。
ボランティアスタッフの中には、ほとんど毎日ポスターを貼りに行って、3ヶ月で全クリした人もいます。
私のように2年もかけてゆっくり割引を貯める人は珍しく、大概の方は半年から長くても1年で全クリを達成して船に乗ります。
ここまで聞いて、まだ現実味がないという方のために、ポスター貼りにおける1日の流れを書いていきます。
ポスター貼りの1日をご紹介
まずはピースボートセンターで準備しよう
ポスターが置いてあるのは、ピースボートセンターです。私の通っている ピースボートセンターおおさか 以外にも、東京、横浜、名古屋、福岡と全国に5つのセンターがあってここを拠点にポスター貼りをしています。
ポースターを貼りに行く日は朝10時ごろ、ピースボートセンターに到着します。
ポスター貼りは、各地域の定められた範囲のエリアに行って、その範囲内のお店に入って交渉していきます。
今日は茨木市か吹田市、来週は西成区、のように、日によってポスターを貼りに行く地域が変わります。
これは、各地域に貼られているポスターを定期的に貼り替えるための仕組みです。
ピースボートのクルーズは約4ヶ月に一回出航するため、4ヶ月から半年周期でポスターのデザインや内容も変わります。その度に、以前貼りに行ったエリアに行って、貼ってあるポスターを貼り替えます。
ちなみに、ポスターを貼り替える場合も新しく貼る時と同じように割引が溜まります。
ポスター貼りに行くと、新しく貼らせてもらうポスターよりも、貼り替えの方が多いことがほとんどです。
エリアを選ぶときは、過去そのエリアに行ったボランティアスタッフが、何軒何枚貼ったか、そのエリアの特徴、おすすめの回り方などを書いた「過去コメント」というメモも参考にします。
その日にいくエリアを決めたら、ポスター貼りに必要なものを用意していきます。
ポスター貼りに必要なものは、以下の通り。こちらはピーセンに貼ってあるので、これを見ながらピーセンの棚から自分が持っていく分を取っていきます。
持っていくものはこんな感じです。
ポスターは二種類あり、ハガキと一緒に貼ります。
このハガキは、ポスターに興味を持った人がすぐにこのハガキを抜き取って資料請求できるようになっています。
持ち物の写真の一番左に写っている紺色のリーフレットは、ポスターを貼らせていただいたお店に渡すもので、ポスターを貼り替えさせてもらうたびにポイントが溜まり、10ポイント貯まると抽選で1組2名様に地球一周の船旅が当たるというもの。
上の写真はご掲示カード。お店の方に許可をいただいた証明として、お店のハンコやサインをいただくための用紙です。裏にポスターを貼った枚数や場所も記入します。
1時間くらいかけて準備をして、11時ごろにピースボートセンターを出発します。
街に出たら、いざ交渉!
ここからは、実際に貼るエリアに到着してから、どのようにお店に入って、どんなふうに交渉するのか説明していきます。
基本的に、エリアにある全てのお店や会社に入りますが、個人宅やポスター貼り禁止と事前に伺っているお店には入らないようにします。
お店に入ったら、ポスターを見せながら
「お忙しいところ失礼します。NGOのピースボートですが、このようなポスターを貼らせていただけませんか」といったふうにお願いし、許可をもらえたら、貼らせてもらう場所と枚数を相談します。
実際のお店での写真はないので、こんな感じでやっています。
お店の方に伝えることは、以下の通りです。
・掲示期間は決まっていないこと
→お店のご都合に合わせて、いつ剥がしていただいても大丈夫ということです。
・掲示場所はどこでもいいこと
→床以外で人目に付くところならどこでも。お店の中、外壁、トイレの中などを提案します。
場所が決まったらポスターを丁寧に貼ります。終わったら、ご掲示カードにお店のハンコかサインをいただき、リーフレットを渡します。
10分弱で貼り終わり、「ありがとうございました」とお礼を言って、次の店に向かいます。
時には貼らせてもらったお店でそのままお昼ご飯を食べたり、休憩もはさみながら、18時半くらいまで貼ります。
最後はピースボートセンターへ戻って集計
エリアのお店を貼り終わったら、ピースボートセンターに戻ってきてその日何枚のポスターを貼ったか集計します。
通常は1日あたり20軒60枚程ですが、エリアによっては100枚以上貼れたりします。1日に貯まる割引額は1万円から多い時で3万円を超える日もあります。
集計が終わったら、次回そのエリアに貼りにいく人が少しでも貼りやすくなるように、そのエリアの特徴やどんなお店があるか、注意しなければならないことなどのコメントを書きます。
集計用紙とコメントをスタッフにチェックしてもらい、OKだったらその日の活動で発生した割引を記録します。エリアまでの交通費は後日支給されるため、交通費も申請します。
ピーセンに戻ってきてから約1時間、ポスター貼りの1日が終了です。
初めてでも大丈夫!
「なんだか難しそう…」「私は無理かも…」と思った人もいるかもしれませんが、大丈夫です。
ボランティアスタッフになって始めてポスターを貼る人には、まず初心者講習があります。「ベテラン」と呼ばれるポスター貼りの経験豊富なボランティアスタッフが、丁寧にやり方を教えます。
1日を通して実際にお手本を見せながらの講習で、それが2回あるので安心して始められます。
私は2年前に初心者講習を受けてポスター貼りを始めました。そして今では「ベテラン」として、新しく来たボランティアスタスタッフに教えています。
初心者講習では、初めての経験で緊張している人も多いですが、まずはポスター貼りを楽しめるように意識しながらやり方を伝えています。
お得に地球一周したい人は、ぜひ一度ポスター貼りを経験してみてください。
割引だけじゃないポスター貼りの魅力
ポスター貼りは、歩き回るので体力が必要です。交渉した結果、断られることもよくあります。
ただ、普段絶対に入らないようなお店にも入れて、そこでさまざまな人と出会うことができます。
時にはお店の人に差し入れをもらったり、ご飯をご馳走してもらったりすることもありました。
自分の知らない世界を知れて、人の温かさに触れることができるのが、ポスター貼りの魅力です。
また、ポスターを貼っている時は1人ですが、センターに帰れば「おかえり!」とみんなが迎えてくれます。
ボランティアスタッフはみんな、地球一周という同じ目標に向かって頑張っているので、良かったことや辛かったこともすぐ共有できるのがいいです。
ポスター貼りに興味がある方は、近くのピースボートセンターに相談してみてくださいね。
また戻ってきたい場所
私は「全額クリア(全クリ)」までもうすぐです。全クリはうれしいけれど、もうポスターを貼りに行く機会がないと考えると名残惜しくもあります。
私が地球一周できるのは、ポスターを貼らせてくださるお店があったから。1軒1軒のお店の方からいただいた、やさしさの積み重ねで地球一周ができます。感謝の気持ちでいっぱいです。
ピースボートセンターおおさか に長く関わって、またポスター貼りの「ベテラン」として、新しく来たボランティアスタッフが楽しく過ごせるセンター、「第2の家」と感じてくれるような雰囲気づくりを意識してきました。
今、ピースボートセンターおおさか はとてもいい雰囲気です。私は4月には地球一周に旅立ちますが、この居心地のいいセンターをこれからのボランティアスタッフの皆さんが保ち続けてくれると信じています。
ピースボートセンターおおさか は、また戻ってきたいと思える場所です。
地球一周は一生に一回の機会です。同じクルーズに乗る人たち、そして世界中の人々と交流することが待ち遠しいです。特に、メキシコでサッカー交流するツアーを取っているので、楽しみにしています。
この2年間、ボランティアスタッフ活動をすることで多くの人と出会って大切な関係がたくさんできました。次は、船内や世界の国々でどんな出会いが待っているか、どんな思い出ができるか、今からワクワクしています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。