「人生は選択の連続。正しい選択をするよりも自分がした選択を正しくする力が大事」 村上佑理

ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は現役大学生でもあり、将来は教師になることを目指している村上佑理です。

村上佑理 Murakami Yuri (通称:ゆりゆり)

広島県尾道市、瀬戸内海に浮かぶ向島出身

ゆりゆりの趣味は小学生から続けているバレーボール。本を読むことが好きで、お気に入りの小説家は有川浩さんと石田衣良さん。

「人生で大事な日は2日ある。生まれた日となぜ生まれたかを分かった日」
これはトムソーヤの冒険で有名なアメリカの作家・マークトウェインの言葉で、ゆりゆりが大切にしている言葉。人生において日々の出来事や出会いなど、全てに意味があるのだなと思って生きていると言います。

ピースボートセンターおおさかでは、これから地球一周を目指す人の背中を押したり、サポートをする仕事をしています。

世界のことを自分のことばで語れる教師になりたい

地球一周する前は大学で教育を学び、将来は高校の理科の教師になりたいと考えていました。その前に色んな世界を見て経験をしたい、そしてそれを自分の言葉で語れる教師になりたいと思い、ピースボートへの乗船を決めました。

教員採用試験を終えてからの乗船を考えていましたが、ボランティアスタッフとして活動するうちに、ピースボートに乗って世界一周をした後に進路選択をしたいと思いました。なので、大学在学中の98回クルーズ(2018年5月~8月)への乗船を決意しました。98回クルーズでおこなわれるプログラム「地球大学」が教育に特化したものであったことも決め手になりました。

<ボランティアスタッフ活動をすることで船賃の全額割引を達成した時は、みんながお祝いしてくれました>

大学に行きながら、バイトやサークルと並行してのボランティアスタッフ活動は大変ではありましたが、それ以上の楽しさがありました。そして無事、船賃の全額割引を達成できました。その際に、周りの人たちが自分のことのように喜びお祝いしてくれたのがとても嬉しかったです。

ユニークな世界の教育に出会った地球一周

ピースボート98回クルーズでは、「世界の色んな教育について学ぶ」ということをテーマにして乗船しました。

「人こそが資源」シンガポール

始めに訪れたのは、国際的な生徒の学習到達度調査(PISA)の成績が近年上位に入っているシンガポール。国土も狭く、資源にも乏しいからこそ人を資源と考え、教育に力を注いでいるシンガポールの教育システムに感心しました。しかし、小学6年生の時に日本でいうセンター試験のようなものがあり、その後の人生の選択をしないといけない。それ故に小5の自殺率が高いなど、課題点も見つかりました。

「教育からスタートする国づくり」キューバ・コスタリカ

<キューバの特別支援学校を訪問>

これまで「教育の進んでいる国=豊かな国」というイメージがありましたが、中南米ではその考えを覆されました。アメリカという大国が近くにあり、内戦等で苦しんでいた経験から、身体と精神の健康が第一であるとして教育費と医療費を無料にしたキューバ。発展途上国でありながら、平和立国、教育立国、環境立国の三つを実現したコスタリカ。コスタリカには「兵士の数だけ教師を作ろう」というスローガンがあるそうです。

「人生を豊かにする教育」デンマーク

私が一番印象に残っているのは、デンマークの「フォルケホイスコーレ」という教育機関です。ここで、私は「ギャップイヤー」という制度があることを知りました。ギャップイヤーとは大学就学前の一年をめどに、正規教育から離れてボランティアや、インターン、旅、留学等を行い、自分を見つめ直したり、将来やりたいことを探すこと。今後の人生を豊かにするため、英国で生まれた制度です。フォルケホイスコーレは、人々のための学校という意味があり、このギャップイヤーの間に通うことのできる教育機関です。

<ツアーでおとずれたフォルケホイスコーレ>

特徴としては試験や成績が一切なく、民主主義的思考を育てる場です。また、全寮制となっていて先生を含めた全員が共に生活をし、対話を通して他者理解や自己理解を行います。そして自分のやりたいことや将来を見つめなおす、自由な学びの場でした。

学びの場としてのピースボート

<気候変動によって深刻な影響を受けている太平洋、インド洋、カリブ海の島嶼諸国で、海洋保護・気候変動問題に取り組む若者たちと交流>

ピースボートでは各地を訪れ学ぶだけではなく、船内で地球大学プログラムを通して、共に学ぶ仲間と対話をし、より学びを深める事が出来ました。そんな環境があったことはピースボートに乗船して良かったと思う理由の一つです。

私が感じたのは、ピースボートの船や地球大学プログラムはフォルケホイスコーレにすごく似てるな〜という事です。どちらも授業や教科書から学ぶのではなく、対話や遊びなど人と人とのふれあいや 実際に経験することを大切にしています。そして、様々な分野の専門家と出会える機会も多くあります。

そんな環境のピースボートで学ぶことで、今後の選択や可能性が広がり、これから何がしたいかが見えてきました。そして、それを実現する力もつけることができたと思います。

自分について知ることができた旅

私がこの船旅で得た1番のものは 「自分について知ったこと」かもしれません。今までは教師になるということが目標でした。誰かの人生に選択肢の幅を与えること、いい影響をあたえられるような人になりたいと思っていました。しかし、教師以外にもそういったことを実現することはできるのだなと、選択肢がいろいろ増えました。

その選択肢の一つとして、今はピースボートのスタッフをしています。そして将来はやはり教師になりたいですし、今のピースボートでの経験が教師としての将来に役立つと信じています。

ピーセンおおさかをボランティアスタッフにとってホッとできる居場所にしたい

<私がスタッフになって初めて送りだした100回クルーズの行ってらっしゃいパーティー>

ピーセンおおさかで、私はボランティアスタッフ生活を過ごしました。多くのことを経験し、学びました。私にとってのピースボートの原点ともいえる場所です。正直、人と本音で付き合うことが苦手な私ですが、ここは本当の自分を受け入れてくれる大切な居場所だと思うことができました。一生付き合っていきたいと思える人にも出会いました。

そして今、この場所にスタッフとして帰って来れたことをとても嬉しく思っています。ピーセンおおさかに来る人が、かつての私のように、この場所を居場所と思えるように努めて行きたいと思っています。

人生は自由!だから自分の心の声を大切にしたい

地球一周をする前は、どちらかというと定められたレールを歩む。そんな人生を送っていました。 自分がやりたい事よりも、世間や親からみて何が求められているのか?どう進むことが正しいとされるのか?そんなことを気にしながら、自分の人生を選択していました。「いい学校」に行き、安定した「いい職業」に就くことが正しいと思っていました。

でもピースボートに出会い、自分は何をしたいのか?という心の声に素直になろうと思いました。地球一周を経て今感じることは、人生は選択の連続で成り立っているということ。1番大切なのは、正しい選択をするよりも、自分がした選択を正しくしていく力を身につけることだと感じています。

人生は自由!
楽しんだもん勝ち!
迷ったらやってみる!
突き進んでみる!

 

文:村上佑理 編集:森田幸子