ただ、ものを届けるだけじゃない。海を渡って人と人をつなげる国際協力 後編

第102回ピースボート地球一周の船旅で世界各地に支援物資を届けました。

こんにちは。ピースボートスタッフの三尾紗希です。前回に引き続き、第102回ピースボート地球一周の船旅で支援物資を届けたときの様子をお届けします。

まだ前編をご覧になっていない場合はこちらからどうぞ。

ベネズエラの音楽教育 1つの楽器が子どもたちの未来を変える

102回クルーズでは、2年ぶりにベネズエラに寄港しました。ベネズエラは、米国の経済制裁や政治の混乱、スーパーインフレもあって市民の生活はかなり厳しい状況におかれています。そんな状況下でも政府が一丸となって、私たちの寄港を歓迎してくれました。支援物資としては大量の楽器をカラカス市内にある音楽練習所に届けることができました。

ベネズエラには、「エル・システマ」という無償の音楽教育プログラムがあります。音楽というツールを通して、子ども達に規律、思いやり、調和、協調性など人生で役立つことを教えているプログラムです。音楽による人間形成、犯罪防止、更正につなげることを目指しています。 創設してから40年以上経ちますが、25万人以上の教育を行い、世界トップクラスのミュージシャンを輩出してきました。

ベネズエラに訪れるたびに私たちはそのエルシステマの音楽練習所に楽器を届けています。今回訪れた際に、以前ピースボートが届けた楽器で練習しているところを実際に見ることができてすごく嬉しかったです。私たちのおこなっている活動には意味があったんだ、今後も必要なことなんだと実感しました。

演奏しているところを見たり、楽器をとても大切に扱ってくれている姿を見て、もっと楽器を届けられるように今後も活動を続けたいと思いました。

当たり前が当たり前じゃないことはたくさん

日本では当たり前に使っていたものが、現地の人たちにとってはすごく貴重なものだということは、現地に行って自分の手で届けることで実感しました。パナマを訪れて先住民族のクナ族に文房具を手渡す瞬間や、ベネズエラで子どもたちの音楽教育をおこなっている「エル・システマ」に楽器を届けた瞬間、私たちが普段使っていた文房具や楽器を見て満面の笑みで受け取ってくれたことは今でも目に焼きついています。

この瞬間に立ち合うたびに、自分自身も普段使っている生活用品は無駄にできないなということ、使えなくなったものは再利用できないかなということを考えるようになりました。

使わなくなったものが文化を伝えるきっかけに

船で使わなくなった「杵と臼」。でもまだまだ使えるから捨てるのはもったいないということで、どこか届けられる場所はないかと探したところ、在ドミニカ共和国の日本大使館の方々が引き取ってくれることになりました。

ちょうど102回クルーズでドミニカ共和国に寄港することもあって、直接日本大使館の方々に届けることができました。杵と臼と一緒に、和太鼓を届けてほしいという依頼もあって太鼓6個も届けました。

後日、大使館の方々から「ピースボートのみなさんのおかげで、老若男女、みんなて餅つきができました。世代間、ドミニカ人との交流もあり、日本文化を伝えるよい機会となりました」という連絡がありました。

太鼓も日本語学校に届けることができて、現地の方々が音を奏でている動画も届きました。

杵と臼を届けたことによって、日本文化が伝わり、さまざな方が交流できたことを知って、私たちのこの活動は、訪れた先々の方にとても影響を与えていることを実感するとてもいい機会となりました。

支援物資おとどけダイジェスト2

ほかにもこんなところに支援物資を届けました。

<グアテマラで子どもたちの補習教室をおこなう「アソシアシオン・ミンナサン」にぬいぐるみや、文房具を>
<グアテマラでコミュニティツーリズムを実施しているモンテリコ村の小学校へ文房具を>
<ベネズエラでアフロ・ベネズエラ(アフリカにルーツを持つベネズエラの人々)の文化を伝えるスラム出身の音楽グループ「グルーポ・マデラ」にドラムスキンを>
<ベネズエラでスポーツの発展に力を入れているコミュニティへ野球道具などのスポーツ用品を>
<ベネズエラ・ラグアイラ州のマケティア練習場へ鍵盤ハーモニカなどの楽器を>

これから私ができること

現在、新型コロナウイルスの影響で地球一周クルーズも相次いで中止となっています。これから届ける予定だった支援物資も行き場所を失っている状況です。たくさんの方々から支援いただいたものを、現地に届けることができない状況はとても心苦しく、早く現地の方々に届けたい思いが募っています。

それでも、今できることはたくさんあります。UPA国際協力プロジェクトをもっと広く深く知ってもらうこと。いざ、地球一周が再開できる!となったときに、たくさんの物資を届けられるように、どんどん魅力を伝えていくことです。

そのためには、まず認知度をあげようとツイッターやfacebook、Instagramに過去の活動報告をアップしています。

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現地の方々の声や活動内容をより多くの方に知ってほしいと私は思っています。直接届けることの感動をもっともっとたくさんの方々に知ってほしい。そして、この活動が現地の方々による状況改善の手助けとなれていることを知ってほしいと思っています。

<102回クルーズの全スタッフ集合!>

なかなか現地の方々に会いにいけない日々が続きますが、常に何ができるのかと向き合いながらこの活動を盛り上げていきたいです。ぜひ皆さんもUPA国際協力プロジェクトの拡散とご協力をよろしくお願いします!

 

ピースボートスタッフ 三尾紗希