女性の秘め事?いやいや!タブーにしちゃいけない生理のこと 後編

【SDGsとピースボートとわたし】生理バッジは女性が生きやすい社会につながる?

【SDGsとピースボートとわたし】シリーズ

ピースボートは、国連との特別協議資格を持つNGOとして、国連「持続可能な開発目標 (以下SDGs)」の達成を目指すさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。そして、わたしたち一人ひとりの行動もSDGsを意識することで、よりよい世界をつくることにつながっています。ピースボートスタッフが考える、それぞれの「SDGsとピースボートとわたし」の関係を紹介します。

こんにちは、ピースボートおおさかの亀田彩香です。今回は「女性の秘め事?いやいや!タブーにしちゃいけない生理のこと 後編」をお送りします。前編を見ていない方はこちらもどうぞ!↓

生理をタブーにしないための方法を考えてみた

【SDGs 5 ジェンダー平等を実現しよう】に関連して、前回のブログでは生理をひた隠しにしなくちゃいけないというタブーを取り払って、もっとオープンにしていけたら!ということを書きました。今回は、女性が生きやすい社会にするためにしていきたいことのひとつとして、生理中の印として(個人の任意で)生理バッジをつけてみては?ということを考えてみました。生理バッジとは、「私は生理中です!」っていうことを可視化でき、アピールすることができる印のバッジです。

私たちが生理用品を購入する際には、黒い袋や紙袋に包まれますし、ほとんどの方はお手洗いに行く際、生理用品をポーチに入れて隠します。それを否定しているわけではないのですが、わたしはそもそも生理を、なぜひた隠しにしなくちゃいけないのか違和感を感じています。

おそらく多くの人が「生理っていうのはおおっぴらにしちゃいけないよー」っていうのをなんとなく察しています。わたしも学生の頃などはコソコソッと生理用品のやり取りをしたりしていましたし、仕事を始めてからも、生理痛があまりに辛くて仕事を休まざるを得ない場合「体調不良」という言葉を代替えしておやすみしていました。

本当は生理バッジを付けるのではなく、透明ポーチに生理用品を入れて、堂々と持ち歩いてやろう!と考えましたが、それだと「私は生理ですがそれはこの透明ポーチから透けている生理用品をみてお察しください」って感じが強いかなと思いました。この違和感をすっきりさせるためには、周囲のひとに察してほしいというより、自分から「アピール」の方がいい!と思い、バッジをつける方がいいなという結論に至りました。

でも突然、自分が生理バッジをつけ始めても、周囲は「???」となると思うので、まずはピースボートのスタッフにアンケートをとってみました。答えてくれたのは20~30代のスタッフ15人で女性が6人、男性が9人です。

そもそも生理をオープンに話せるほうがいい?

まずはじめに聞いたのは「女性の生きづらさや、生理に関することなど今までタブー視されてきたことをオープンにすることに対しての意見や感想をください」というもの。

基本的にはみなさん、賛成の声をいただきました。

「自然になってしまうものを隠す必要はないよね!」(30代/男性)
「子どもへの性教育や環境問題という点において改善につながるのはいいと思う」(20代/男性)
「声を上げる人が少なかったことで、取り上げられなかったことなのかもしれないので、タブー視されていることへの意見や行動はとてもいいことだと感じます」(30代/男性)
「生理があって、みんなはこの世に誕生できているわけだから、理解して感謝したいよね!特に当事者でない男性は!生理のないひとが、生理を理解することに貢献できれば幸栄です」(30代/男性)
「考えたら学校教育は男子と女子で別れて性教育をするけど、本当はお互いの身体的な特徴を理解するコトが望ましいよね?なんだか日本の性教育は変にタブー的な要素を作って、それが誤解や無知を生んでいると思う!そんな情報のない男子が、いきなりAVを目にしてしまうから、性の認識が歪んでしまうんだよね……」(30代/男性)

まず、生理をオープンにすることに対する偏見はないしむしろ賛成が多いことは、わたしにとって意外でした。その一方で、オープンに話せるようにすることは大事だけど、社会全体を変えていくことの難しさを感じる声もありました。

「性についてOPENにしましょう!生理もSEXももっと大きな声で発言していいんですよ~!ってなってもすぐには変わらない。でも、それじゃダメだとおもう」(20代/女性)
「女性が過ごしやすい世の中にしようっていうことよね?大賛成だけど具体的にどうこうっていうのは専門的すぎてよくわからない」(20代/男性)
「生理をオープンに話せるようになるのが理想だと思うけど、ハードル高そう。多くの人の根本にある意識を変えていかなきゃいけないのがむずかしい」 (20代/女性)
「この問題を理解してもらう、知ってもらうことはすごく大事だと思う。なかなか理解されない問題だし、実際に経験しないとわからない辛さなので、男性を始めわからない人への講座だったりするのはアリ!」(20代/女性)

社会を変えたいと思っていてもそれぞれの価値観があるのでなかなかそう簡単にはいきませんよね。そして、生理はその人にとってとてもプライベートなことでもあるので、生きやすい社会をつくることは重要だけどすべてをオープンにすることには慎重な意見もありました。

「ジェンダーに関係なく、すべてのひとが過ごしやすい社会というのはすごく素敵だしそうあってほしい。でもオープンな社会というのは引っかかる。全てをオープンにするのがいいのかは疑問。事柄にもよるだろうし」(30代/女性)
「タブーをなくしたいと思っても、急にオープンにしようとするのは嫌がる人もいるので、時間をかけるべき。またピースボートからという感じは悪くないですが、ピースボート以外でも通用するようにしないとダメです。じゃないとせっかくオープンになったひとがマイノリティーになり意味がないです」(30代/男性)

女性の生きづらさという視点から、下のような言葉を書いてくれた男性もいました。

「男女平等、多様性が求められる現代において『女性は化粧をしなければならない』とか『○○さん上司の盃にお酌して』とか『生理の周期を無視して働かなければならない』とか『女性には生理があるからこの仕事は無理』……は、全て旧時代の負の遺産だと思っている。日本人女性の総理大臣が出なくちゃおかしい。自称・先進国でこんなに女性の大臣が少ない国は本当に異常です!」(30代/男性)

思った以上に、何かしらジェンダーへの違和感を感じている人、社会は変わった方がいいと思っている人が多いんだなと感じました。そして上記男性の言葉を見たときに、めちゃめちゃ感動しました。「女性だから、男性だから」などの決めつけは、知らぬ間にだれかを傷つけている。そんな言葉でもありますよね。

生理中の女性がすごしやすくなるために生理バッジはアリ?

そして、もう1つの質問は「実際に生理バッジをピースボート内で(個人の任意で)使うことに賛成か反対か」というものです。こちらは様々な意見がありました。

「賛成!ちょっと抵抗はあるけど、ゆくゆくはそうなっていけばいいと思うし、隠さないのが当たり前になっていけばいいと思っている!」(20代/女性)
「素晴らしい取り組みだと思います。生理のないひとも気づくことができるので対応を変えることができる。まさにWINWINの関係になると思います」(20代/男性)
「新しい取り組みを入れて行くのはいいと思います。生理のないひとは女性の気持ちを理解するのは難しいですが、女性からしたら月に一度は訪れるもので、ひどいひとは激しい痛みや吐き気を伴うものなのでバッジをつけて可視化できるのはいいと思います!」(20代/男性)

生理バッジは一般に普及しているものではないので、戸惑いや不安の声もありました。

「堂々とお手洗いに生理用品を持っていけたり、体調が悪いことを伝えられたら気持ち的に楽だろうな。でもまだ恥ずかしさがある。徐々にオープンな社会になって行くと思うけど、個人的に思いきることがまだできないなぁ……という理由です」(20代/女性)
「開始するに当たって、男性はより、バッジをつけているひとを見たらどうしてあげたらいいのか戸惑うかな」(20代/男性)
「女性が判断することかなと思うな。要はつけることが負担にならないかだけ」(30代/男性)
「バッジをつけている人がいたら、仲良くないと声を掛けにくいかなと思う。つける必要があると感じる女性は気にせずつけられる世の中になればいいと思うし、しんどそうなときに声を掛けたり周りがその人を注意深く見守って、気にかけたりできる確率は上がると思う」(30代/男性)

男性からは、どうしたらいいかわからないという意見と同時に、生理のために体調が悪い女性に対してできることがあればサポートしたいと思っている人が多いことも印象的でした。また、こんな意見も。

「PMS(月経前症候群)や月経痛があることの方が実は動物として不自然なことやから、バッジでのアピールをするのであればその状態を改善するための原因とか方法を探ったり実践するのはセットじゃないかなと思う」(20代/女性)

そして、生理バッジを導入する前に生理についてきちんとした知識を広めることが大切だとの意見が多くありました。

「自分が今生理中かどうかを知ってほしいと思えないから積極的につけたいとは今は考えてないかな。それならSDGsみたいに常につけれるバッジで、「それ何?」って聞かれたときに伝えられる仕組みだったら自分もできるかも」(30代/女性)
「タブーの本質は『理解できない』『よく分からない』というのがポイントだと思う。このポイントを解決していかないと、生理バッジはタブーや偏見を助長する要因になってしまうのではと感じた」(20代/男性)
「パートナーからの話を通してひとそれぞれ生理にも差があること、具体的にどんなことがあるのかを知ることができた。だから想像もできるし理解もしやすい。でも22、23歳くらいまでは『ただよく分からないもの』『女性は大変』『苦しい』『聞いてはいけない』というくらいの認識しかなく、その当時の自分が生理バッジを付ける女性を見たら、余計に腫物を触るように接してしまったかもしれない」(20代/男性)
「生理バッジは反対しないです。ただ付けるにしても、まずは勉強会をするなど周りに徐々にそういった考え方もあるということを広めてからがいいです」(30代/男性)

まずは周囲が女性の生きづらさや生理を知ることが大事なのでは?という声が多かったかなと思います。なのでいきなり生理バッジをつけ始めるというよりも、まずは〝知る〟ことからなのか!と改めて感じました。

自分らしく、ジェンダーに関係なく、すべての人が過ごしやすいオープンな社会になればいい

ということで、まずはピースボート内でも〝知る〟機会があればいいな、と考えました。今はそのための企画を考えています。前編のブログでは「月経カップ」や「ピル」が思った以上に反響あったので、わたしも発信していく意味はあるんだと思います。

というか、そもそも誰かが発信しなくても、「性」は地球上の生物すべてに関わることでもあるし、人権にも大きく関わることなのだから、学校で正しく習うべきだと思います。アンケートの回答にもあったように日本では性教育へのタブーがあり、はぐらかす表現だったり、男女別で授業をする場合もあります。

「生理」のことももちろんだけど、「どうやって私たちは産まれたのか」「性的同意」「セクシャルマイノリティ」「正しい避妊方法」「性感染症」などを、みんなが正しく教わり、自分も相手も大切に思えるようになればいいなと思います。

<101回クルーズのニューヨーク寄港にて>

SDGsは2030年までに達成する国際社会共通の目標です。【SDGs 5 ジェンダー平等を実現しよう】の中にある「女性や女の子に力を与えて、男女平等を実現しよう」という目標が、2030年にはどのくらい達成できているのか、不安でもあり楽しみでもあります。今よりもグンと、生きやすい社会になっている、そして日本が世界の中でもお手本のような性教育をしていることを願います。

ちょっと生理バッジとは話がそれちゃいましたが、想いは以上です。もしも、わたしも生理バッジつけたいー!っていう方がいたらお声掛けください!なるべくつくります(笑)。いっしょにフェミニズムを起こしませんか?お待ちしています!(^o^)

 

ピースボートスタッフ 亀田彩香