「世界一幸せな国」フィンランドに恋して

ピースボートで世界を旅した僕がみつけた「第二の故郷」

4月よりピースボートセンターおおさかで勤務しています、野々村修平です。約2年振りに東京から異動してきました。約2年で梅田の繁華街も風変わりし、また新しい魅力と出会えることを楽しみにしています。ぜひセンターでお会いしましょう。

僕は仕事柄、地球の北から南、北極圏から南米まで様々な地域を旅してきました。学生時代にも国内外問わずバックパックひとつでよく旅をしてきたのですが、気が付けば、国内は47都道府県をすべて周り、海外へは計63カ国。

多種多様な地域や人々と交流する中で、自分の心の中にスッと入ってくる「居場所」が見つかることがあると思います。第二の故郷とも言える場所、皆さんにはありますか?今回は僕がお勧めする地域について書きたいと思います。

自然とともに生きるフィンランドの人々

「みにくい人ほど、きれいな服を着て見せびらかす」

ハッとしてしまう方もいるのではないでしょうか(笑)。これはフィンランドのことわざです。流行の服で自分の鎧を作るのではなく、中にいる自分を大切にすること。この国の国民性がよく現れているなと思います。

北欧は、僕の大好きな場所。

北欧とは、スカンジナビアン3王国(デンマーク・スウェーデン・ノルウェー)と、それらにアイスランド、フィンランドを加えて、バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の8か国を総称した地域を指します。

僕は北欧諸国の一つであるフィンランドの首都、ヘルシンキで暮らしていた経験があります。学生時代、短期留学ではありましたが、すぐにこの国に惹かれてしまいました。

フィンランドの人口は約530万人。経済規模もとても小さな国です。北極圏の地域では、春には太陽が沈まない白夜を体感し、冬には満点の星空とオーロラのカーテンが見られます。

<白夜。深夜24:00に撮影>
<オーロラ>

市内から少し郊外に抜けると、透き通った空気と広大な大自然が目の前に広がるんです。国土における森林率は73%と先進国の中では最も高い数値であり、湖の数は19万以上にも及びます。フィンランドは別名「森と湖の国」とも呼称されており、国民の生活の一部に自然が必ず存在します。春は湖畔でハイキング、冬は海や湖は凍ってしまうのでスケートをしている人が多いでしょうか。

また自然の中で過ごす時間がとても多いことから、自然を愛する国民性が知られています。森に入り、新鮮なクラウドベリーを収穫しコーヒーと一緒に食べる時間、これが最高に好きでした。

人々の声が政治を動かす

北欧諸国では、fika(フィーカ)と呼ばれる、スウェーデン発祥のライフスタイルが確立されています。ただ単にコーヒーブレイクをするという意味合いだけでなく、気心の知れた仲間とくつろぎの時間を過ごしながらコミュニケーションを図るのがfikaです。僕の留学先の学校でも、fikaの時間に自分たちの国の政治について対話しているなんてことがよくありました。

フィンランドには、「市民イニシアチブ法」というものが存在します。これは2012年に発効されましたが、国民の声を国会に届ける法律です。簡単に説明をすると、一つのものごとに対して最低5万人の賛同の通知や署名があった場合は、その議論を国会で取り上げなければならないとするものです。例えば、「同性婚合法化」は、フィンランドで初めて市民によって牽引され、可決した法律でした。

国民が声をあげ、イニシアチブをとることの大切さを彼らは知っています。このように日々日常に対話が組み込まれていることが北欧らしさではないでしょうか。

世界最年少の首相は世界中の若者に希望を与えてくれる

2019年、フィンランドでは、サンナ・マリン首相が誕生しました。34歳の女性首相です。

国外では、マリン首相が同性カップルの両親を持つ貧困家庭出身で、かつてはスーパーマーケットのレジ打ちの仕事をしていたことなどが注目されました。しかし国内の報道では過去の背景や年齢・性別についての報道はなされなかったようです。

確かに他の国では30代の首相というと経験値の不足や経歴が前提に議論されると思いますが、若くてもリーダーシップを担うことができれば評価される場所が北欧なんです。実際、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)の早期対策が身を結び、国民からの支持率を高めています。

デジタルネイティブなミレニアル世代から誕生した首相は、これからの世界のお手本になると思います。また僕を含め若い世代が、世界を牽引していくための大きな勇気になることは間違いありません。マリン首相の存在は、誰にでも目標を持つことの大切さを教えてくれます。

福祉と教育が豊かな国をつくる

フィンランドはまだ歴史が浅い国です。また元々経済的にも優れていませんでした。しかし、国を豊かにするためには教育への投資が重要であると、国民は知っていたんです。一人ひとりへの教育や福祉を手厚くすることが今のフィンランド を作ってきました。フィンランドでは「よい納税者を育てること」が大切にされています。

福祉大国と呼ばれ、家族や友人と過ごす時間や趣味に充てる時間などの余暇を充実させるべく、様々な公的制度が整備されています。

また、義務教育から高等教育が無料で、大学や大学院にも学費を大きく負担することなく進学することができます。給食も無料です。国民全体に平等な教育の機会と高いレベルの教育を保証することを国家の指針とする「生涯学習」という考え方が根底にあることもあります。ちなみに私が見学に行った小学校の教室の後方には「文房具コーナー」なるものが設置されており、子どもたちはノートや鉛筆を使いきると、新しいものを自由にもっていくことができるシステムでした。

そのような観点から(深く掘り下げるとまだまだ魅力は尽きませんが……)、フィンランドが「世界一幸せな国」と呼ばれる理由がなんとなく分かる気がします。

 

ピースボートスタッフ 野々村修平

北欧5か国をめぐる地球一周の船旅

2022年4月出航の第111回ピースボート「地球一周の船旅」は、初夏の北欧をおとずれます。詳しくは以下をごらんください。
ピースボート地球一周の船旅 2022年4月出航 Voyage111(北欧&アラスカコース)