ミャンマーで軍隊による弾圧に抵抗を続ける人々

みなさん、こんにちは。ピースボートスタッフの森田幸子です。今日はぜひ、みなさんに知ってもらいたい、そして考えてもらいたいミャンマーの現在について話したいと思います。

独裁政権が長年続いたミャンマー

 

ミャンマーは東南アジア西部にあり、人口は約5,400万人。そのうち70パーセントがビルマ族で、他にも多くの少数民族が暮らしています。1948年にイギリスの植民地から独立しました。

1962年には国軍がクーデターを起こして独裁政権がはじまりました。1988年には学生を中心とした市民による民主化運動が盛り上がり、独裁政権は終わりをむかえましたが、国軍はクーデターを起こして民主化を訴える市民を弾圧しました。それ以降も軍事独裁政権が続きました。2011年には民政移管されましたが、国軍は大きな力を持ったままでした。

ミャンマー国軍による市民への弾圧が続いています

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<国会付近の道路を閉鎖する国軍。2月1日>

2021年2月1日、国軍がクーデターを起こしました。これに対して多くの市民がデモに参加して抗議の声を上げましたが、国軍は武力で弾圧を続けています。2月1日以降、4月21日までに国軍により700人以上の市民が殺害されました。この中には多くの子どもも含まれています。また3,000人以上が拘束されています。

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<機動隊との衝突の際、間に合わせの盾で身を守る市民。2月28日>

国軍は救急車や病院なども襲撃し、マシンガンやロケットランチャーのような殺傷兵器が使われています。拷問や性暴力もおこなわれています。犠牲者の墓も軍により破壊されています。

そして、現地の状況を世界に伝えているジャーナリストも弾圧の対象となっています。4月18日には、日本人ジャーナリストの北角裕樹さんが治安部隊により拘束されました。北角さんはミャンマーに住み、クーデター後は抗議する市民の声を積極的に発信し続けていました。

参考:NHK「ミャンマーで日本人ジャーナリスト北角裕樹さんの拘束を確認」2021年4月19日

10年前から民主化の道を歩んでいたミャンマーで、今また軍による弾圧が激化しています。数十年前の状況とよく似ていますが、違うのはソーシャルメディアを使うことで、ミャンマーの若者たちが世界にこの状況を伝えています。より多くの市民が団結して、不服従運動を繰り広げています。

日本の私たちがミャンマーで声を上げている人々のためにできること

ピースボートは4月10日に緊急のオンラインイベントを開催し、ミャンマーの現状や日本政府の関わり、私たちに何ができるかなどについて取り上げました。イベントの詳細はこちら↓のウェブサイトにありますので、ぜひ読んでみてください。

今回のイベントの中では、日本とミャンマー国軍の関係も話されました。ミャンマー国軍が市民に対する弾圧を続けるためには資金が必要です。日本政府はミャンマーに対して2018年までに1兆9000億ほどの支援をしてきました。ミャンマーにとって最大の援助国です。多くの日本からのお金が、ミャンマー国軍が経営する企業に流れた疑いがあります。そして日本や他の国の多くの企業が、この国軍関連企業と協力関係にあります。

私たちは決してミャンマーと無関係ではありません。日本で暮らして税金を払うことが、結果的にミャンマー国軍を支援することにつながっています。市民への弾圧や虐殺を止めるために、軍への資金を断つことは重要です。

ミャンマーの状況については日々、多くのニュース記事が配信されていますので、検索してみてください。ツイッターやフェイスブック、インスタなどのSNS上で「#ミャンマー国軍の資金源を断て」のハッシュタグを検索するとさまざまな情報やアクションを見つけることができます。

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<「抵抗」を意味する3本指のサインを掲げるデモ参加者>

ミャンマーで起こっていること、ミャンマーの市民が求めていることをまずは知ってください。その事実を多くの人に広めてください。1人ひとりにできることから始めましょう。

 

ピースボートスタッフ 森田幸子