みなさん、こんにちは。ピースボートスタッフの森田幸子です。新型コロナウイルスの影響で、簡単に海外へ行くことができなくなり1年以上が経過しました。世界のことを知るには、もちろん世界中に出かけて行って体験することが一番だと思います。それと同じくらい大切なのは、学ぶこと。海外に行くことができない今、世界のことを本を通して楽しみながら学んでみませんか。
今回はピースボート大阪のスタッフに、いろんな国や国際交流、国際協力、世界の社会問題に興味ある人におすすめしたい本を聞いてみました。おすすめポイントと一緒に紹介していきます。
それでは、どうぞ!
こんぶのおすすめ『真ん中の子どもたち』
温 又柔(著/文) 集英社
「僕が乗船した第100回ピースボートに水先案内人(ピースボート船内で講演会などを行なっていただく各界の専門家)として乗船していた、温又柔さんの本です。台湾・日本・中国の間で暮らす子どもたちのアイデンティティを物語の中で描いています。母語とは?国境とは?と考えさせられます」
こちらもチェック『トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?』
トレバー・ノア(著/文)齋藤慎子(翻訳) 英治出版
「南アフリカのアパルトヘイト下で、黒人の母と白人の父から生まれたトレバー・ノアの自伝。現在はアメリカでコメディアンとして活躍する彼が、ユーモアを交えながらアパルトヘイトの中で生きた経験を語っています」
あゆのおすすめ『プラントハンター 命を懸けて花を追う』
西畠 清順(著) 徳間書店
「ピースボート水先案内人でもある西畠清順さん。実際にお会いしましたが、この1冊でぶっ飛んだ清順さんの人柄がよくわかります。冒険心と好奇心が溢れていて、プラントハンターという聞きなれない職業、そして清順さんの魅力がしっかりと伝わります。これを読むと植物を見る目が変わるかも!?」
こちらもチェック『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』
渡辺 一史(著/文) 文藝春秋
「難病の筋ジストロフィーを患った男性の実話。障害者と健常者の枠を超えた新しい人間関係がリアルに描かれています。自分の悩みが小さく思えるし、勇気がもらえる作品です。映画もありますが、断然本で読むことをお勧めします」
文藝春秋『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』
ゆりゆりのおすすめ『わたしはマララ』
マララ・ユスフザイ(著)クリスティーナ・ラム(著)金原瑞人(訳)西田佳子(訳) 学研プラス
「パキスタンの女性活動家、マララ・ユスフザイさんの本です。イスラム過激派組織タリバンに弾圧されながら女性の人権と教育の大切さを命がけで世界に訴え、2014年、史上最年少となる17歳でノーベル平和賞を受賞し世界の注目を集めました。当時私が高校3年生の時に出会った本です。年齢がたった1歳しか変わらないのに、信念と勇気をもって行動しているマララさんの生き方に心を打たれました。
『1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます』という言葉がとても印象に残っています。一人の人間の力は小さなものですが、ただその小さな力が世界を変えていくことに繋がっていくのだろうなと思います」
学研『わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』
こちらもチェック『手紙屋 蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙』
喜多川 泰(著) ディスカヴァー・トゥエンティワン
「私のバイブル本。大好きな作家さん喜多川 泰さんの一冊です。なぜ勉強するのか、その答えがとても明快に記されています。大人になって勉強から離れたみなさんにも読んでほしい一冊」
ディスカヴァー『手紙屋 蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙』
オイスターのおすすめ『途上国の人々との話し方 国際協力メタファシリテーションの手法』
中田 豊一(著)和田 信明(著) みずのわ
「大学院時代の同級生がJICA海外協力隊に行く時に教えてくれた本。序章『曇りガラスが晴れるとき――“なぜ?”と聞くのは間違いの始まり』のタイトルからこの本は面白いぞと心惹かれます。国際協力というと、心の中で自分を主語にして『私が、世界をよりよくしたい』と考えがちですが、主たる主語が『私』ではなく現地で支援を待っている人々だと気付かされる本です。
この知見に立つには、本来長い経験と努力が必要です。しかしこの本を読むことによって同じ舞台に立つことができます。めちゃくちゃ定価は高いですが、購入する価値は僕が保証します」
みずのわ『途上国の人々との話し方 国際協力メタファシリテーションの手法』
こちらもチェック『モモ』
エンデ ミヒャエル(著) かおり(訳) 岩波書店
「ドイツの児童書です。子どもの頃に読むのと、大人になってから読むとでは、捉え方が大きく異なると思います。87ページの、灰色の男『時間貯蓄銀行員』と『フージーさん』の会話は、日本社会を駆ける大人にこそ突き刺さります。時間と人生の豊かさをこれほどまでに考えさせられる名著は存在しないでしょう。子どもができたら必ず読ませてあげたいな」
トミーのおすすめ『いのちの食べかた』
森 達也(著/文) KADOKAWA
「ピースボート水先案内人の森達也さんの著書。お肉はどこからやってくる?から様々な社会問題にまで及ぶ内容で、物事にはひとつの見方ではなくたくさんの側面があることにはっとさせられます。この本は小・中学生向けに書かれていますが大人になったからこそ、たまに立ち止まって読み返したい本です」
こちらもチェック『料理の意味とその手立て』
ウー・ウェン(著) タブレ
「『もやし炒めはごちそうです。』という帯の一文に完全に心を鷲掴みにされました。料理の本質と食を大切にする著者の考えが詰め込まれていて、ただのレシピ本ではなく読み物として価値ある一冊。北京出身のウー・ウェンさんが執筆されており自然と寄り添うアジアの食文化についても学べるので面白いです。普段料理しない人にもおすすめできます」
飯島健のおすすめ『あなたという国―ニューヨーク・サン・ソウル―』
ドリアン 助川(著/文) 新潮社
「著者は道化師・作家・詩人であり、ニューヨークで9.11を体験したドリアン助川さん。彼自身のニューヨークでの経験を元にしているのかと感じる、日米韓の壁を痛感する愛の物語です。様々な人種が暮らすニューヨークで、文化や常識の違いに悩む青年の夢への挑戦が、世界をくっきりと映し出してくれるセンチメンタルな作品です」
こちらもチェック『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』
安田 菜津紀 (著, 写真) 日本写真企画
「フォトジャーナリストである安田菜津紀さんがこれまで訪れた報道されない世界から、世界の厳しい現実に立ち向かう大人と過酷な状況に生きる子どもたちの真実を伝えてくれる愛ある本」
日本写真企画『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』
アイフルのおすすめ『日本のSDGs それってほんとにサステナブル?』
高橋 真樹(著/文) 大月書店
「最近よく聞くSDGs。SDGsは国連が定めた『持続可能な開発目標』のこと。スーツの胸元にSDGsのピンバッジをつけている人もよく見るようになりました。街中の広告にも大きくSDGsロゴが描かれていたりします。ただ、『え!この企業って持続可能な社会とは反対のことやってない?』って思うこともしばしばあります。
持続可能な世界をつくるためにみんなでSDGsを広めよう!というのはとてもいいことだと思います。でも、なんでもかんでもSDGsをつけたらいいってもんじゃなくない? そんなことを思ってる時に読んだら知りたいことを教えてくれる本でした」
こちらもチェック『コンビニ人間』
村田 沙耶香(著/文) 文藝春秋
「主人公は『普通じゃない』存在だけど、私にとっては実はけっこう共感できるところもあります。こういう生き方はダメ、とか、こういう生き方しないといけない、なんてことはないってことをこれまでとはまったく違う視点で伝えている一冊」
いかがでしたか?気になる本があれば、ぜひ読んでみてください。読書後は、きっと世界が違って見えるはず。
ピースボートスタッフ 森田幸子