ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)で活動する仲間を紹介します。今回は、好奇心旺盛・即行動!の河合由実です。
河合由実 Yumi Kawai(通称:ナイキ)
愛知県名古屋市出身
自然に触れることが大好きなナイキの趣味は、空や川をぼーっと眺めたり、全身で音と匂いと雰囲気を楽しむこと。
目的も決めず直観で気の向く方に歩いて、立ち寄りたいと思ったお店に入ってみることを昔から定期的にやりたくなるらしく、地球一周中も世界の街でやっていたそうです。
ナイキは自然の中にいても、街でも自分の感覚を大切にしています。
モットーは「失敗ではなくすべてを自分の経験に!」。失敗してもその過程には意味があったはずだから、そこで終わるのではなくて、貴重な体験として活かすことができる。素敵な心がけですね。
ピースボートでは、電話による問い合わせ窓口で、地球一周への一歩を踏み出す人たちをサポートしています。
地球一周を目指したきっかけは怪我
みなさんも一度は目にしたことがあるであろう、ピースボートの地球一周ポスターが私をピースボートへ導きました。
テニスのインストラクターを目指して専門学校に通っていた時、テニス漬けの日々で肘を怪我。将来に不安を感じていたころ、たまたま行ったしゃぶしゃぶ屋さんでポスターを見かけたんです。
前々から気になってはいたものの、地球一周なんて他人事だと思っていたので、普段なら「いいな~」で終わっていたのですが、なぜかその日はポスターに付いていた資料請求はがきを手にしてすぐに記入、帰り道でポストに投函しました。
数日後に資料が届き、ボランティアスタッフ説明会が開催されていることを知りました。これまでテニス漬けで説明会に参加する時間もなかった日々が、怪我で時間がある…。
時間があることなんてなかなかない…。しかも会場が学校から近い…!と、トントン拍子でピースボートセンターなごやで行われていた説明会へ。
当時、説明会をしている裏で、楽しそうに数人が餃子を作っていたのは今でも忘れられません(笑)。「なんだここは!」と思ったことを今でも覚えています。
その日にボランティアスタッフの登録をし、ボランティアスタッフの定例ミーティング(という名の交流会のようなもの)に参加しました。(ここで、先ほどの餃子が出てきました。)
当時は「地球一周ができたらいいよな~」程度にしか考えていませんでした。でも、ピースボートセンターには本気で地球一周を目指す仲間がいて、一緒にボランティアスタッフ活動をするうちに、私も「地球一周をするぞ!」と本気になることができました。
※ピースボートのボランティアスタッフ活動をすることで、活動内容に応じて船賃の割引を受けることができます。また、ボランティアスタッフ対象の交流会や勉強会も多数開催し、地球一周の出発までサポートします。
ボリビアで大学の授業に参加?!
私が乗船した地球一周の船旅では、南米のペルーに寄港したんですが、ペルーの隣はボリビア。あの有名なウユニ塩湖がある国です!
ということで、船旅を一時離脱して、ボリビアにあるウユニ塩湖まで足を伸ばしました。ピースボートは途中で船を離脱して自由行動、そしてまた次の港で合流することもできるんです。
その後、ボリビアの首都・ラバスで空港まで向かうバスが捕まらなくて困っていたとき、あるボリビア人に声をかけられたんです。
「ダイジョブデスカ?」
私たちは「アイ キャント スピーク スパニッシュ」と返しましたが、冷静になって聞くと日本語…。
まさか海外で、しかも日本の裏側のボリビアという国で日本語で話しかけられるなんて思ってもいませんでした。彼は困っていた私たちの事情を聞いて、一緒にバスを探してくれましたが、満員で乗れませんでした。
その声をかけてくれた男性、実は大学の先生だったんです。日本の大学へ留学していたので日本語もできます。「実は僕、授業に10分遅刻しているんだ」。
急いで大学向かって!と探してくれたお礼をしつつ別れようとしたのですが、「よかったら、僕の学生たちに君たちを紹介したい。一緒に来て、授業受けていかない?」と。こんなチャンスはなかなかないと思った私たちは喜んでついていきました。
その授業は、本来は理系の授業だったのですが、先生のご厚意で私たちと学生との交流の時間にしてくれたんです。2時間くらいみっちり(笑)。
最後に集合写真を撮り帰ろうとしたら、また先生が「僕の大好きな日本をもっと伝えたいから、この後学生たちと一緒に観光してくれない?」と。
これまた、なかなかない素敵な機会!一緒に「月の谷」と呼ばれる観光地まで行きました。移動中もそれぞれの文化の紹介やたわいもない会話。最後にみんなと写真を撮り、連絡先を交換しました。
それから3年経ちましたが、今でも時々連絡を取り合っています。また行きたいと思える場所、また会いたいと思える人との素敵な出会いでした。
大切なことに気付かせてくれたカンボジアの地雷被害者
もう一つの素敵な出会いはカンボジアでありました。
ボランティアスタッフのころから、ピースボートのプロジェクトの一つである「ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MAC」にかかわってきました。P-MACはカンボジアの地雷除去のための募金活動を行なっていて、私も街頭募金をしていました。
そして船旅では、実際にカンボジアの地雷問題の現状を見に行くツアーがありました。そのツアーの中で訪れた施設で、ある1人の男性と出会いました。
ウェイクグアンさんです。地雷によって右足と左目を失い、身体中にも地雷の破片によるたくさんの傷を受けたそうです。私は勝手なイメージで地雷被害にあった方々は暗い人生を送っているのかと思っていました。
ウェイクグアンさんは義足をつけ、自転車のマシンでリハビリしている姿を見せてくださいましたが、義足のため1周漕ぐたびに足がペダルから外れてしまうんです。そのたびに手で足をペダルに乗せて漕ぐのを繰り返し行なっていました。
そのとき、すごく楽しそうに笑顔でリハビリしてたんです。その顔が今でも忘れられなく、今歩けることに、生きていることに喜びを感じているように思えました。
「不幸だと勝手に判断するのは失礼だ。その人自身がどう感じてどう生きていくかは私には関係ない。でも、自分にできることがあれば何かしたい」と思わされました。
これは地雷だけではなく、自分が関わった人全てに対して、私ができることがあればやりたいと強く思うようになったきっかけでもあったかもしれません。
※カンボジアでの体験はこちらの記事でもくわしく書いています。
ピースボートの船は出会いの宝庫
地球一周の船旅を通じて、様々なものを見て感じてきました。
「百聞は一見に如かず」ということわざの通り、自分の目で見て感じて考えることが大切で、誰かと同じものを見ても、とらえ方や感じ方は様々だと実感する場面がすごくたくさんありました。
そして、約100日間の地球一周中は、年齢もバックグラウンドも生き方も、それぞれ違う人たち1,000人が1つの船で日々を共に過ごします。日常では味わえない、唯一無二の場所だと思います。
地球一周をして、やっぱり私はピースボートが好きで、たくさんの人に知ってほしい!って思いが大きくなりました。
私が今ピースボートで担当している問い合わせ窓口では、地球一周に興味を持った方々からお電話をいただいています。声のみで対応するため、思いを受け取り伝える難しさを日々実感しています。
そんな中でも、素敵な人との出会いがあり、自分とも向き合えるピースボートの船旅をより多くの方に知っていただきたいと思って活動を続けています。
私たちと一緒に世界を旅しましょう!
船旅はあくまでも人生のひとつの通過点でしかありません。ですが、その通過点を最高の瞬間にできるものだと思っています。
怪しい(笑)とか不安とかすべて取っ払って、一回飛び込んできてほしいです。
迷ってたら私に電話してきてください!一緒に新しい世界をみませんか?
文:河合由実 編集:森田幸子