タヒチとサモアでごはんを作りながら環境問題を考えてみた

【地球を旅するピースボートスタッフが見る「世界」】ポリネシアの自然と共存するゆたかな暮らし

【地球を旅するピースボートスタッフがみる「世界」】シリーズ

「地球一周の船旅」を出し続けることで地球を楽しみ、世界中の人々と出会い、文化・歴史を学び、紛争・環境・人権問題などグローバルな課題に取り組むピースボートスタッフが、ごく個人的な視点と興味でつづります。

こんにちは、ピースボートスタッフの和田有紀です。今回はポリネシア文化を持つ南太平洋の国々を紹介します。

ピースボートの地球一周では、夏クルーズと冬クルーズで行くことができます。私自身、2年前に乗船していた第100回クルーズで訪れる機会があり、タヒチ島・ボラボラ島・イースター島・サモア独立国を訪れました。

ポリネシアはハワイ、ニュージーランド、イースター島を結ぶ三角形の中にある諸島の総称です。共通点としては「THE!南国!」という第一印象ですよね。いわゆるリゾート地が多いです。

ハワイやニュージーランドは「テレビや雑誌で見たことがある」という方「実際に行ったことがある」という方も多いと思うので、なかなか行けないタヒチとサモアをご紹介します。実際に訪れると、大柄で優しそうな人がたくさんいました。思わずディズニー映画の「モアナに出てきそう~」と言ってしまいそうになります(笑)。

タヒチ~壊された自然を取り戻すためにふたたび自然と共に生きる道を選んだ人々~

まずはタヒチ!そもそも「タヒチ」は国の名前ではありません。正式名称は「フランス領ポリネシア」です。

フランス領ポリネシアは、5つの諸島と115の島でできています。その中のひとつがタヒチ島というわけです。国名にフランス領とある通り、元々フランスの植民地でした。そのため公用語はタヒチ語とフランス語です。

植民地支配の影響は大きく、フランスがタヒチに与えた影響は今も残っています。中でもサンゴ礁地帯で核実験が行われたことで、深刻な環境破壊をひき起こし、またタヒチの古くからの産業である農業や漁業は廃れていきました。そんな中、ふたたび自然と共に生き、自分たちの文化のツールでもある自然を守ろうという動きになりつつあります。

実際訪れてみると、イメージ通りの南国感あふれる景色も見ることができますが、私たちは自然と共存して暮らしている人々と出会いました。ツアーの移動手段は多くが大型バスですが、今回は四輪駆動車でした。バスでは通ることが難しい山道を多少のスリルを感じながらぐんぐん進んでいきます。

揺られること1時間30分、山の中にひらけた場所が出てきていくつか住居のような建物も現れ、村に到着。車を降りると、歓迎のしるしにレイ(花や葉っぱを使った首飾り)のプレゼントもありました!ここでは一緒に食事を作ったり、民族衣装パレオの使い方、首飾りでもらったレイの作り方などを教えてもらいました。

食事はいくつかのチームにわけて一緒に作ります。今回タヒチ料理を教えてもらう代わりに日本料理も一緒に作りました。メニューは「ロング手巻き寿司」です。実は、ピースボートセンターおおさかではロング手巻き寿司づくりは伝統行事になっていて(笑)、ポスターイベントの打ち上げの際にみんなで心をひとつにして巻きます。

それを今回は ”IN TAHITI”!ということで、心をひとつに一緒に巻きました!お寿司は日本食の代表ともいえますが、みんなで作ると自然と笑みがこぼれます。味もとってもおいしかったです!

<みんなで手巻き寿司づくり!>

もちろん一緒に作ったタヒチ料理も文句なしのおいしさ。島なので漁業が盛んです。タヒチ流は、それをココナッツミルクと混ぜて食べます。これがまたおいしいんです。

料理を作っている間には、村の案内もしてくれました。村の中にある赤い多肉植物は、シャンプーの代わりになるそうで、その場で見せてくれました。

絞り出すと中から透明なジェルのようなものが出てきて、それで髪を洗うそうです。最近は市販でもノンシリコンシャンプーが出回ってますが、結局は水質汚染に繋がっているので自然の物であれば川に流しても影響はありませんよね。自然と共存しているなあ~と感じた瞬間でした。

<パレオは「パレウ」というタヒチの民族衣装が起源。自然がモチーフの鮮やかな布が美しい>

食後はパレオの巻き方を教えてもらいました。実は巻き方がたくさんあるんです。1枚の布なのでかさばらないし、色や柄も豊富なのでお土産としても人気が高いです。行った時にはぜひ、お気に入りのものを見つけて見てくださいね。

サモア~自然の恵みを最大限利用しながら自然への負担を最小限におさえる暮らし~

国名も初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。なかなか旅行の計画を立てているときに「よし、サモア行こう!」とはなりませんよね(笑)。わたしもピースボートで訪れるまではその存在を知りませんでした。そもそもどこにあるんだろう?という感覚でしたね。でも実際訪れてみるととっても人が優しくて、大好きな国になりました。

サモアは人口の8割が肥満と言われています。その理由は元来のポリネシア人の太りやすい体質に加え、サモアでは太っている方が評価されていたことがあるそうです。近年は教育の普及で、健康的な体格に気付き始め「痩せたい」という人が続出、ダイエットが大ブームとなっているとか。正式名称は「サモア独立国」。

サモアのツアーがとっても楽しかったんです。ここでもタヒチ同様、村の人と一緒にごはんを作ったんですが、感動しました。ゴミがひとつもでないんです。無駄がひとつもないというのはこのことだなと感じました。

料理にココナッツを使うんですが、殻はお皿代わりにして再利用することは当たり前。食材を掴むトングでさえ竹のようなしっかりした素材の植物を半分に折って使用していました。

ポリネシア料理のひとつである「ウム」という料理はココナッツミルクにみじん切りの玉ねぎと塩を合わせます。これを葉っぱで包んで焼くだけというシンプルな料理です。ココナッツミルクは液体なので、普通に包むだけではこぼれてしまいますが、いろんな種類の葉っぱを幾重にも重ねて包むとこぼれないんです。

最初は1枚の葉っぱを手のひらでお椀状にして、そこに玉ねぎを入れたココナッツミルクを注ぎます。こぼれないように葉を合わせて、また違う種類の葉っぱで包みます。その時点ではテニスボールくらいの大きさですが、これを繰り返すことで最終的にはソフトボールくらいにまでなります。

<葉で巻いていったウムを持って>

仕上げはバナナの葉で包むんですが、このバナナの皮以外は全部食べることができるんです。完成したウムはお餅のようにもちもちしており、わらび餅のような食感です。ココナッツミルクに塩気が効いてて味はとってもおいしいです。

食事のお皿も葉っぱでできていました。どこまで無駄がないんでしょうか。食器を洗う必要もないので、とってもエコですよね。かつての日本も無駄のない自然と共存した暮らしをしていたんだろうな。

水質汚染は生活排水が1つの原因で、その中でも食器洗いなど台所から出る排水が大半を占めると言われています。サモアを訪れてみて、日本からは遠く離れた異国ですが、暮らしぶりにはどこか懐かしさを感じました。

私たちの生活スタイルは年月とともに大きく変化しており、便利になった一方で環境への負担は大きくあります。これを機に改めて環境問題について考えるべきだなと強く感じました。

知識だけじゃなくて体験をとおして知ることが大切

旅は自分を見つめなおす機会になりますね。技術の発展により便利で住みよい世の中になることはいいけど、追い求めすぎると周りが見えなくなってしまいます。

旅を通して気づくことって多いですよね。

旅中は自分と向き合う時間もたくさんあるので、今後の人生のことをゆっくり考えたり、旅先で出会った人やものに影響や刺激をもらって、帰国後新しいことを始める人も多いです。やっぱり自然を求めていることに気づいて最近では田舎に住み始める方や、農業を始める方も増えてきているみたいです。

世界にはいろんな民族やいろんな文化を持つ人々がいます。世界は広いし、地球ってすごいです。言葉では簡単にいえますが、実際訪れてみると実感します。今はインターネットの普及により、どこでもすぐに調べることができて便利ですが、どんなに便利なものができても「体験」に勝るものはありません。見たことや、聞いたことなどの知識が「体験」によって強い衝撃となり、自分の人生にも影響を与えてくるかもしれません。

ピースボートの船旅はまさにそんな感じです。洋上の生活でいろんな人の話を聞いて学び、実際に訪れることによってそれが素晴らしい体験になるんです。知識だけではなく、体験をとおして”知る”ことで文章では表せない現地の人たちの思いにまで気づくことができます。今はなかなか海外に行ける状況ではありませんが、行けるようになったらぜひみなさんに参加してもらいたいです。

 

ピースボートスタッフ 和田有紀