「正解がないこの世界で、自分の意思を信じ続ける」野々村修平

ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は北欧のプロフェッショナル、野々村修平です。

野々村 修平  Nonomura Shuhei(通称:オイスター)

大阪府出身、在住。

オイスターはピーセンおおさかでボランティアスタッフとして活動した後、2017年春に出港した第94回地球一周クルーズに乗船しました。現在はスタッフとして、以前の自分と同じように地球一周を目指すボランティアスタッフをサポートしています。

地球一周で世界中の国々を訪れたオイスターの次の目標は、身近なアジアの国々を知ること。最近は休暇を利用して台湾一周を達成。オイスターの旅はまだまだ続きます。

ピーセンおおさかではポスターの担当をしています。ランチで訪れた店の壁、居酒屋のトイレなど、様々な場所に貼られているポスターはボランティアスタッフがお店の許可を得て貼っています。ポスター担当として、「どうすればより多くの人の目にとまるか?」「どのような場所に貼れば効果的か?」と考えながら、日々大阪の街を歩いている研究熱心なオイスターです。

陸上に打ち込むスポーツ系男子が地球一周した理由

中学の時、陸上競技(110mハードル)で全国大会に出場したことを機に、その魅力にとらわれ、17年間競技を続けていました。「一つのことに夢中になれる人って凄い」ってずっと思っています。だからこそ、ひとつのものを極めることに情熱を注いでいました。

テレビの中の世界は本当にあったんだ

大学2回生の時に、陸上競技の国際大会に出場するためにドイツを訪れる機会がありました。僕にとってそれが初めての海外。国によって人も生活も街並みも違うことに驚きを隠せませんでした。同時にとても新鮮でした。「そんなの当たり前!」って思うかもしれませんが、僕にとって他の国はテレビの中に存在するもので、実際にこんな世界があるという実感をはじめて経験した瞬間でした。

自信をもって子どもに接することができるように

大学では保健体育の教員免許を取得し、卒業後、中学校で教員をしていました。しかし、学生時代に数週間の教育実習のみと4年間の座学で得た経験で教壇に立つことに違和感を覚えました。と言うよりも子どもに対して失礼なのではないか、そう感じたんです。「そんなの現場に立って慣れていかないと!」と言われましたが、その言葉は僕の悩みとは大きくずれていました。

学生時代や教員としての経験から、知らない世界である海外の国に行くこと、そして面白いと思える経験を積むことにいつしか執着し、そんな時にピースボートと出会いました。

ピースボートの船では遊びも学びも全力投球

地球一周クルーズに乗った時は、船内では企画をつくることに面白さを覚えました。ピースボートの船内では毎日いろんな企画をやっていて自由に参加することができます。そして、参加者が企画をつくることもできます。

乗船している1,000人をつなげる企画

僕は船に乗っている参加者の方々を紹介する企画が印象に残っています。同じ船に乗り合わせた個性あふれる人たちのことをもっと知ってもらいたくて、いろんな参加者に特技や一発芸を披露してもらったり、映像を使ってその人を紹介したりするんです。僕の役割は企画立ち上げから人集め、道具の準備、番組内のMC、そして映像編集まで!そんな企画を30本ちかく作って船内で行いました。一から自分のやりたいことを形にしていく作業はとても魅力的です。

寄港地でも船でも日々学び

あとは遊ぶだけで終わりたくなかったので、世界中の教育を知るために様々なツアーに参加しました。デンマークでは経営やプログラミングなどの無償教育をおこなう「フォルケホイスコーレ」の現場を訪れ、スウェーデンでは子どもを対象にした森の中でおこなう環境授業を見学しました。そして船に乗っている間も毎日海を眺めながら勉強することを習慣にしていました。

船旅が今の僕をつくってくれた

帰国後は、旅がそのまま自分の人生を進めてくれているように感じています。誰かが求めてくれるから自分の居場所があり、だからこそその人や社会のために全力を尽くしたいと思えます。ピースボート災害ボランティアセンターが行う災害支援活動に参加したり、ピーセンおおさかで働いていることも含めると、人の繋がりに感謝しかありません。

日本にいても、すべての見方が変わりました。目の前にある出来事の背景を考えて、自分の中で議論・対話ができるようになりました。環境や社会、政治など大切だと分かっているけど、難しいから学ぶことを止めてしまう人にはなりたくありません。船旅ではより深く考え行動するための方法を学びました。常に学び続けられる人でありたいと思います。

ピーセンおおさかは人生を変えるきっかけが散らばっている場所

僕はピーセンおおさかを訪れ、背中を押してくれるスタッフがいて、ポスター貼りというボランティア活動があったからこそ乗船することができました。「地球一周した!」という結果はとても大切だけど、乗船までの道のりを楽しいと思わせてくれたのはここで働くスタッフの姿でした。そしていつしかここがあこがれの職場に変わっていきました。

僕はピーセンおおさかで世界への第一歩を踏み出し、地球を一周して帰ってきました。そしてまだここに僕の居場所が残っていることを嬉しく思います。次は僕が地球一周を目指して、訪問して来る人たちの背中を押したい。そして、親のようにみんなを見送りいつでも帰ってこられる場所を作っていきます。

自分の人生に違和感を覚えたのであれば、その心に嘘をつかないでください。

僕が17年間も続けた「道」から新しい「世界」に飛び込んだように、

怖さもあるかもしれないけど、その心があなたが本当に求めているものです。

文:Nonomura SHUHEI 編集:Morita SACHIKO