今年4月14日に神戸港を出航する ピースボート地球一周の船旅 Voyage117 に乗船予定のぴょん吉ことコージーです。
ボクの名前は、航海の次へと書いて、「航次(こうじ)」と言います。ピースボートで世界を回るために生まれてきたと言っても過言ではない名前です。パシフィック・ワールド号に乗って地球一周できることが誇らしいです。
という似たような書き出しの記事を4年前にも書いているので、↓そちらもチェックしてみて下さい。
4年前に乗船する予定だった104回クルーズが、新型コロナウイルスで中止になりました。
今回は4年前に地球一周を諦めたボクが、なぜもう一度目指すのかを知っていただけたら嬉しいです。
地球一周をもう一度目指したきっかけ
きっかけは退職です。
地球一周を一度は諦めた後、ボクは小学校の先生として働いていました。
しかし、当時働いていた職場の方針と自分の考えが上手く合わずに心が壊れていきました。
・人よりもルールが大切にされる環境
・子どもたちが失敗するたびに与える罰
・余白のないカリキュラムにつぶされる子どもたち
ボクは子どもたちが大切にされてない環境に耐えられずに、退職することを決意しました。
そんな時、ボクは過去に貯めたボランティア割引が残っていることに気づき、今年の4月に出発する Voyage117 を目指すことにしました。
※ピースボートのボランティアスタッフは活動に応じて船賃の割引を受けることができます。
4年前からの仲間はもちろん、新しく出会った仲間たちと一緒に乗船することを楽しみにしています。
理想の教育を求めて海外にいったけど、そんなもんどこにもなかった。
ボクは5年前、理想の教育を探そうと海外に憧れをもち、いろんな教育現場に行きました。結論からいうと、そんなもんどこにもなかったです。
ただ、ボクが見てきた中でいいなぁと思った教育を紹介します。
アメリカは個人主義の自由な教育
アメリカの先生はやったことに対する責任は、自分でしっかりとることをめちゃくちゃ伝えていました。
基本的に何してもいいけど、ルールをやぶったり失敗したらその罰が全部自分に返ってきます。
宿題を忘れて、休み時間なしなんてことは日本でもありますが、それをもっと濃くした感じです。
反対に、できる人はどんどん新しいことにチャレンジしたり、自分のやりたいことをとことんできる環境でした。アメリカンドリームって言葉がぴったりです。
まわりの目を気にせずに、自由に生きられるって居心地がいいですね。
自然の中で、豊かに学べるニュージーランド
ニュージーランドの小学校は、学校にいる時間が6時間に対して、休み時間が合計2時間くらいあります。
そんなことを知ったら日本の子どもたちは目を輝かせることでしょう。
さらには、天然芝の広大なグラウンドを裸足で走り回り、大自然最高!って胸の高鳴りを感じました。
算数の学習も日本では3年生でやる内容を5年生がやっていたりと、カリキュラムもゆったりしている印象。
大自然の中、緩やかに学んでいてとても居心地が良かったです。
対話を通してつながりがうまれるオランダの文化
オランダの小学校では、1日の始まりに円になって話をします。
それぞれ楽しかったことや、気になったことなど話してからゆっくりと授業が始まりました。
この円になって話すことを「サークル対話」と言い、相手を大切にすることを学んでいます。
子どもたちが家に帰ってからも、家族どうしで今日何があったのか話したり、ボードゲームをしてゆったりしていて、居心地の良い時間が流れてました。
このような相手を大切にする文化は、対話からうまれたようです。
すばらしい教育にも残る課題
さまざまな教育を見てきましたが、その学校や教室ごとに課題があります。
現場の先生や子どもたち、また保護者の人が何とかしようと頑張っていました。
日本の教育よりもいいと言われている学校でも学級崩壊やいじめなどが起っている現実をみて、理想の教育なんてどこにもないんだと気づきました。
結局は自分が先生として何を大切にするか
自分の外側に答えがないことを知ったボクは、自分の内側に目を向けることにしました。
日本の教育でも大切にされている価値観があって、先生たちはそれを育てようと指導しています。
- ルールを大切にしている先生は、ルールを守る大切さを伝えている。
- 食べ物を大切にしている先生は、給食は残さず食べようと声をかける。
- 意見を言うことを大切にしている先生は、全員が発表したかチェックする。
このような価値観をもって、先生は子どもたちと関わっています。
ボクが大切にしたい価値観を考えたときに出てくるのが、「居心地の良さ」です。
居心地が良いって言葉を英語にするとCOZYって言います。オランダでそれを知った時の衝撃は今でも忘れません。ボクの名前の航次(こうじ)と発音がとてもよく似ています。
そんなこともあり、7年前にピースボートでつけてもらった「ぴょん吉」というニックネームに加えて、「COZY(コージー)」というあだ名も勝手に増やしました(笑)。
ちなみに、「居心地の良さ」という価値観は、人権を大切にすることにつながります。
ピースボートで学んだ人権問題から生まれた問い
ピースボートでは、定期的に勉強会が開かれています。
ボクはそこで、カンボジアの地雷の問題、在日コリアンの方がうけたいじめ、アウシュビッツで起った大量虐殺について学ぶことができました。
ボクたちは差別の歴史から、人権という大切なことに向き合いました。
そこで、「子どもたちの人権は守られているか」という問いがでてきました。
先ほど述べた日本の教育で大切にされている価値観は、行き過ぎるとどうなるか想像できますか。
- 理不尽なルールに対して意見したら、生意気だと反省文を書かされた子
- 給食が食べ終わらずに、口に無理やり食べものを入れられて給食が嫌いになる子
- 発表が苦手な子が、全員発表の同調圧力から不登校になる子
残念ながら、教育という形で人権侵害を生み出す仕組みが教室にもあります。
平和学という学問では、これを「暴力的構造」と呼びます。
暴力的ではなく平和的に解決する方法なんて考えればいくらでも出てきます。
- おかしなルールがあれば、話し合って新しくルールを作ればいい。
- 給食が苦手な子がいれば、食べる量を少なくすればいい。
- 誰でも発表できるような、温かい環境を整えてあげればいい。
このように、教室から平和を育てていけば、世界も平和に近づけそうですよね。
地球一周だからこそ平和について考える
人権を大切にして、平和な世界を目指すって今まで人類が挑戦してきて、未だ成し得ない永遠の課題ですよね。
正直、教室で平和的に解決する方法をさらっと言いましたが、言うは易く行うは難しです。
ボクが乗船する Voyage117 には、教室から平和を育てるヒントがたくさんあるでしょう。
ボクが気になっている国は、アパルトヘイトがあった「南アフリカ」と、軍をもたない「コスタリカ」です。
現地に住んでいる人がどんなことを考えて、どんな生活をしているのか知りたいです。
他にも水先案内人(船内で講演する各界の専門家)の方やおりづるプロジェクト(被爆者とともに核廃絶のメッセージを届けるプロジェクト)の方々と平和について学んだり、平和に向けて歩んでいるそれぞれの国の取り組みを知りたいです。
また、ピースボートの船内では参加者自身が企画を行うこともできます。
平和や教育についての学びに参加するだけではなく、ボク自身が学んできたことを活かして自主企画もやろうと考えています。
おわりに
ピースボートはボクの人生に大きな影響を与えてくれました。
今まで関わって下さったピースボートのスタッフさんたちのおかげでボクはやっと地球一周できます。
本当にありがとうございます。
この100日間の旅を子どもたちに伝えていけるように、学びの多い地球一周にします。
それでは、Voyage117に乗船するみなさん、一緒に楽しみましょう!
文:コージー 編集:森田幸子
Voyage117が、2024年4月13日(土)横浜港、14日(日)神戸港を出航します。その様子をYoutubeでライブ配信します
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Voyage 117では、「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」と「ウクライナ・ユース・アンバサダー」という2つのプロジェクトを実施します。