SDGsのロゴを掲げ地球を旅する、私たちの役割

オイスターが環境と平和と戦争と核兵器について滔々と考えてみた

 

こんにちは。ピースボートスタッフの野々村修平(通称:オイスター)です。実はピースボートは、国連との特別協議資格を持つ国際NGOとして、国連が定める「持続可能な開発目標」 (以下SDGs) の達成を目指すさまざまなプロジェクトに取り組んでいるんです。

【SDGsとは】

SDGsは、先進国の中でも格差や貧困を減らし、気候変動対策を含めた環境問題やエネルギー問題などに取り組みを求めることなど、幅広い分野を含む、17のゴールと169のターゲットから成り立っています。

近年、取り分け大企業が、このSDGsを企業の活動の一部として意識する事例が多くでてきました。その成果もあって、私たち市民にも「カラフルなロゴ」が目に止まるようになってきたのではないでしょうか?ただ私が生活している中で、SDGsがどのような取り組みかを理解している人は少ないように感じます。

今日は、そんなプロジェクトを展開する国際NGO職員として、昨今、興味を持っている事柄について書きたいと思います。

まずは、7月1日より開始された「レジ袋の有料化」についてです。経済産業省が推進している活動ですね。SDGsを意識している私たちにとっては、「やっと政府も動きだしたか!」と思う一方、この取り組みに対して、不便さを訴える声が多く叫ばれていることが現実です。

プラスチックごみは社会の近代化に伴い、私たちの生活に急速に浸透し恩恵をもたらしました。ただその背景で、環境に与える深刻な問題が徐々に浮き彫りにされてきました。もちろん、普段の生活の中で「直接的に影響が出た」と感じる人はほとんどいないと思います。だからこそ、使い勝手の良いプラスチック製品を使用することは至って当たり前の考え方です。

「レジ袋の有料化」の取り組みが始められてから一ヶ月以上が経過しましたが、皆さんはどのように感じていますか?

知らないことは、罪じゃない

もちろん、私たちの生活において「プラスチック」はなくてはならない存在です。先ほど述べましたが、地球の環境よりも自身のQOL(Quality of Life)、即ち生活の利便性を追求することはもはや当たり前です。事実、私もプラスチック製品を消費しています。というより、世の中にはプラスチック製品が溢れているんです。

一度、この文章を読むことを止めて、周囲を見渡してみてください。どうですか?

プラスチックごみは適切に処理する分には問題ありません。とりわけ問題になるのが、プラスチックの処理方法です。ポイ捨てや不適切な処分の仕方により、こうしたごみは風に飛ばされたり川などに流され、やがて海に行き着きます。このように海に流れ込んだり、捨てられたプラスチックごみを「海洋プラスチックごみ」と言います。

海洋プラスチックは年間800万トンとも言われ、2050年にはプラスチックごみの量が魚の量を超すという推計がでています。プラスチックごみは海という大切な環境を壊すだけでなく、その生態系などにも影響を与えます。そして、海に生きる魚介類を食べる私たちの生活にも甚大な被害を及ぼすことに繋がります。

そのためこれを減らす1番の方法は、私たち消費者が気をつけることです。ごみをゴミ箱へ捨てることは当たり前ですが、プラスチックごみそのものを減らす行動を取ること、これが重要です。

私たちピースボートも旅をしている以上、ごみは必ず出ます。ただ環境に配慮した方法でごみを処理することはもちろん、船内では紙ストローや紙コップなど、プラスチック製の商品を提供しないように努めています。

私は世界中の海を眺めながら、ボーッと一人の時間を過ごすことが好きです。ごみに埋め尽くされた海と透き通った海、これらを比較した時にあなたが見たいのは?答えは必然と導き出されるのではないでしょうか。要は私たちが、知識を備え、一歩行動する勇気を持つことです。

「消費者として、恥ずかしくない大人になること」私が大切にしている指標です。

旅が平和をつくり平和が旅を可能にする

この言葉が表現する意味をピースボートは、いつも大切にしています。世界中を旅することで、「船」という移動手段を使い、地球の裏側でこれまで出会うことがなかった人と人とが出会うんです。そして、それは平和がなければ実現しません。

この時期に「平和」というと、広島や長崎の原爆投下がまず思い浮かびます。日本は、世界で唯一の戦争被爆国と言われています。そして被爆した人たちは日本人だけではありません。当時、日本で生活や労働していた多くの海外の方々も被爆しました。

「核兵器は人類を一瞬にして破壊してしまう脅威を持っている」

かのドイツ出身の物理学者アルバート・アインシュタインが核兵器の基礎となるエネルギーを作り出す理論を発見したことは有名です。彼は武器としてエネルギーを使用することは「大きな誤ち」と言い続けてきました。しかし、結果として原子爆弾は日本に投下され、今現在も世界中で核の製造が続けられています。

SDGsの16番目には「平和と公正をすべての人に」と記載されています。次に、この点とピースボートの関わりを見ていきます。

広島・長崎が問う戦後75年

2020年は日本に原子爆弾が投下されてから75年目にあたります。即ち、あの時、原爆投下の被害にあわれた方々は、少なくとも75歳ということです。私たちを含めた若者世代が、75年前に生きることはできません。後世に、核兵器の恐ろしさを自身の体験を持って伝えられる人は、今紛れもなく少なくなってきました。

ピースボートが果たしてきた役割

私たちは、地球一周の船旅を通じて、
1)核兵器は非人道的であること
2)広島・長崎の被爆者たちの声を届けること

これらを世界中に伝える役割を果たしています。

ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)とは?

ピースボートは、2010年からICANに参加しています。ICANは、核兵器を禁止し廃絶するために活動する世界のNGOの連合体です。スイスのジュネーブに国際事務局があり、現在、100カ国を越える500近くの団体が参加しています。

ICANは、2007年にオーストラリアで発足しました。2011年にジュネーブに国際事務所を設置して以来、核兵器を国際法で禁止するキャンペーンを世界的に展開してきました。2017年に核兵器禁止条約が国連で成立し、同年のノーベル平和賞はICANに授与されることとなります。

おりづるプロジェクト

ピースボートは「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(おりづるプロジェクト)を通じて、2008年から2020年までに約180名の被爆者と共に船で世界をめぐってきました。広島・長崎の記憶を世界中に伝えることで、国際的に核兵器を廃絶するアピールを担っています。

平和折念式典を見て思ったこと

2020年8月9日、長崎の平和折念式典を見た私の一番の印象に残ったものは、平和宣言でした。田上富久市長は新型コロナウイルスの影響に触れ、このように語りました。

「自分の周囲で広がり始めるまで、その怖さに気付かなかったように、もし核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気付かなかったとしたら、取り返しがつかないことになる」

核兵器や環境問題、新型コロナ。世界規模の課題に私たちは今立ち向かっていますが、これらの問題の根幹はすべて同じだと思います。目には見えないけど、国を越え、分け隔てなく人の命を脅かす点で核兵器も感染症も同じです。どんな問題でも当事者の目線に立って考える必要があるのではないでしょうか?

今、私にできること

私自身、ピースボートスタッフでありICAN国際運営委員の川崎哲のもと勉強しており、国内様々な場所で講演をさせてもらっています。先日、奈良教育大学附属小中学校にて、小学6年生約80名と中学生全校生徒560名に向け、核兵器廃絶についての講演をしてきました。このような講演を行うことが、今私にできることだからです。

この講演の後、平和を願う「以上に」平和をつくることにこだわって作った文集とCD「平和 世界へ 未来へ」が、ピースボート事務局に届きました。歌には、「被爆者の声を聞いてみよう」「深く知ろう」という歌詞が取り入れられており、文集には、修学旅行で広島に行ったときの経験をもとに、「平和の思い」が綴られています。

文集の中に、「『今』を考える」という文章がありました。

「ぼくは今が不安です。核兵器が何千、何万とあって、世界が壊れる気がします……どこかの国が核兵器を持っているからもつのではなく、どの国も捨てるべきです。それができていないのは、勇気がないからだと思います。でも、勇気を出して武器ではなく対話にする。ハードルを越えた先に、平和はあると思うのです(中抜)」

そして、核兵器禁止条約の批准を願い、この不安をなくせるよう自分も努力する、と締めくくっています。奈良教育大学附属小学校6年生(当時)のみんなは、戦争や不平等に対抗できるのは、「言葉の力」だと気づいたそうです。そこから、伝えたいことを文集にし、歌にし、残していこうと取りくみました。

新型コロナのために休校続きだった彼らは、学校再開となり、新しい生活に慣れるため日々頑張っていることでしょう。核兵器廃絶を一緒にめざすたくましい仲間ができた、そんな気持ちにさせてくれる歌と文集でした。

核の被害は日本だけの話ではない、これは地球全体の問題である。この視点をこれからも大切にしていこうと思います。

ピースボート 野々村修平