「奇跡を起こして地球一周に出発しよう!」大西智子

ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は大学生とピースボートスタッフの二足の草鞋を履く大西智子です。

大西智子 Ohnishi Tomoko (通称:ともこ)

<パナマの先住民族・エンベラ族と交流>

兵庫県出身

趣味は岩盤浴・映画鑑賞・ドライブ・スノボー、そしてスポーツ全般大好き!というともこ。ジブリも大好きで、「魔女の宅急便」はセリフまで覚えているんだとか。

ともこの好きな言葉は「夢を見るから、人生は輝く」
人生を楽しむためには夢を持てというモーツァルトの言葉。一度きりの自分の人生、生かすも殺すも自分次第、楽しくするのも自分次第。シワシワのおばあちゃんになっても、死ぬ直前まで夢を持って生きていたいそうです。

ピースボートでは、ピースボートに乗船された方に新しいクルーズの提案や、もう一度乗船するためのサポートをしています。そして現役大学生でもあります。

世界中での出会いが私の日常をも変えてくれた

大学で居場所を見つけることができなかった

<高校最後のソフトボールの大会で>

私は大学で教育系の学科に通い、将来は教員を目指していました。高校を卒業し、大学に進んで就職することが当たり前。これが一番正しい道なんだとばかり思っていました。

小学校からソフトボールを始め高校まで部活漬けの毎日を送っていました。ソフトボールで大学に行くことを望んでいましたが、その大学に私が志望する学科がなく将来のことを優先し、ちがう大学に入学しました。大学生活では、今まで夢中になっていたことがなくなり、それに変わるものを見つけられずにいました。そして何にも属さない私は大学での居場所を見つけることができませんでした。

海外への旅が私の世界を広げた

そんな私に人生の転機が……。バックパッカーの兄が「お前は見ている世界が狭すぎる!」と私を海外に連れ出してくれました。家に飾っていた世界地図にダーツを投げて行く場所を決めるという大胆なやり口で行き先を決め、イタリアのミラノとローマに2週間行ってきました!

<はじめての海外はイタリアのミラノ>

これまで見てきた世界とは全く違う光景ばかり。日本での「当たり前」の概念が覆された瞬間。もう言葉では表現しきれない数多くのものに出会い、今まで感じたことない新鮮な感情を経験しました。

たった一つ新しい挑戦をすることで世界がこんなにも広がるとは思いませんでした。大学生活に価値を見出せない平凡な日常から、刺激的な日常へと変わり、次第にもっと違う世界をみてみたい!と思うようになりました。

人生の遠回りは新しい出会いがいっぱい

<ロシアでお宅訪問ツアーに参加。お邪魔した家のお母さんと>

そこで出会ったのが、ピースボートでした。私は、大学3年生のときに休学をして、ピースボートの地球一周クルーズに乗船しました。はじめ親は猛反対しましたが、私がボランティアスタッフとして頑張っている姿を見てくれ、ほんとうにやりたいことならと最終的には背中をおしてくれました。

遠回りすることで、今まで見えてこなかった景色や人に出会い、順当な進路を歩むだけが正しい道ではないなと感じました。遠回りした人にしか見えない経験をもっとしたい。そして将来に繋げたいと思い、現在も遠回り、寄り道しながら、日々新しいものに出会っています。

一から作りあげた海のまんなかの大運動会

寝ても覚めても運動会な10日間

いざピースボートの地球一周クルーズに乗船してみると、思い出が強いのは訪れた国よりも、船内生活です。中でも一番の思い出は、船内で一番大きな企画!運動会です。私は運動会の実行委員として企画を考え作りあげていきました。実行委員の中でも中心メンバーとしてやりましたが、大変だったと一言でまとめたくないくらい大変でした(笑)。

準備期間に当てられた時間は10日間。この期間で企画を本当に1から作り上げます。朝からミーティング。夜も遅くまでミーティング。ミーティングのあとのミーティング(笑)。

何か一つのことに熱中するという私が求めていたもの。いろんな問題が起こりすぎて、でもそれを解決する度に絆が深まっていく感じ。たまらなかったですね~(笑)。スリルを最大限楽しみました!

800人と共にすごした最高の一日

運動会当日は、800人を超える人が参加しました。360度海に囲まれた船でこんなことしているのは、どこを探してもピースボートだけ!あの日は、地球上で一番盛り上がった!と言えるくらい最高の一日でした。

一生懸命な姿、応援する姿、喜んでいる姿、最後には涙した人もいたり、ドラマがたくさんありました。自分たちががんばって作りあげたこの運動会で、参加してくれた人が楽しんで、そして「ありがとう」と言ってもらえた時は、これまでの苦労が実った瞬間でした。

自分は自分でいいんだと思わせてくれた地球一周の船旅

<ノルウェーで丘の上から美しいベルゲン市内を一望>

私は船に乗船したことで、ポジティブに考えてその瞬間を楽しもう!と思えるようになりました。保守的でネガティブな一面が大きかった私でしたが、そんな私を必要としてくれる人がいて、自分という存在を認められ、自分は自分でいいんだなと考えられるようになりました。

そんな考えを持てたのは、一緒に運動会を作ったスタッフの「まりん」こと吉田真林のおかげです。すごくポジティブで、些細なことでも心から楽しめる人で、周りにいる人までもが笑顔になれるような人です。わたしもそんな人になりたいと思うようになりました。

あったかいピースボートセンターが大好き

<出航前にピーセンおおさかでボランティアスタッフが集まって地球一周行ってらっしゃいパーティー>

大学での居場所がない私の心の支えとなったのが、ピーセンでした。私は、大学は岡山、家は兵庫、そしてピースボートのボランティア割引を貯めるために大阪まで足を運ぶ生活を送ってました。「魔のトライアングル」と呼んでます(笑)。

莫大な時間と交通費がかかっていましたが、そうしてでも行きたかった場所でした。ピーセンに行くと「おー!ともこー!」、ポスターを貼りに行くときは「行ってらっしゃい!」、疲れて帰ってきたら「おかえり!」と毎回声をかけてくれるこのあったかい雰囲気が好きです。

この場所に帰りたい!と次第に思うようになりました。何気ない言葉ですが、居場所を探していた私には救いの言葉でした。いつしか割引を貯めることが一番の目的ではなく、大好きな人たちがいるピーセンに行くことが目的になっていました。

子どもたちの居場所をピースボートの船上につくりたい

いろんな人に海外に行ってほしい!地球一周を経験してほしい!世界のいろんな人に出会ってほしい!そう思うから私はピースボートで働いています。ピースボートセンターや船の環境が私の居場所になりました。その環境を守り続けたいという思いでやっています。

教師になる夢もあきらめてません!私は今、通信制の大学で勉強しながら、スタッフをしています。教員免許を取り、将来的に船の上で小学生の居場所作りに貢献できたらなと思っています。

奇跡を起こす!地球一周を目指そう!

地球一周クルーズに乗船するまでは一筋縄ではいかないことがたくさんあります。大学の単位どうしよう。家族に反対されている。お金がない。その問題を一つ解決すると不思議とまた問題が見つかるんですよね(笑)。

でもその壁を乗り越えて向かえる出航の瞬間は、ほんとにめちゃくちゃ感動します。鳥肌立ちます。自然と涙がでてきます。

色んな奇跡が合わさって世界一周できるんです。そしてその奇跡を作り上げたのは自分自身だと思います。自分でつかんだ夢の切符を手に、色んな経験をして、いろんな国にいって、いっぱいおいしいもの食べて、船内そして各国でいろんな人と出会ってほしいです。一生の思い出になるとおもいます!みなさんに、ピーセンや船で出会えることを楽しみにしています!

 

文:大西智子 編集:森田幸子