【イベント報告】人々の、そして子どもたちの未来を奪った沖縄戦

皆さんこんにちは。ボランティアスタッフのかづきです。

今回は、先日オンラインで開催されたイベント「映えるだけじゃない沖縄」について皆さんにもシェアできればなと思います。

このイベントでは、今までに4回沖縄を訪れたことのある村上佑理(通称:ゆりゆり)さんが、沖縄の歴史や第二次世界大戦時の話などを紹介してくれました。

私が感じたことも交えつつ皆さんにもご紹介していきますね。

あなたの沖縄のイメージは?

「沖縄」と聞くと大半の方が、透き通った綺麗な海とか首里城や美ら海水族館、食べ物でいえばシークワーサーや海ぶどうなどを思い浮かべるんじゃないでしょうか。沖縄は人気のある観光地で旅行に訪れる場所♪というようなイメージを持たれる方が多いと思います。

ですが沖縄は、第二次世界大戦の時に、住民を巻き込んだ大規模な地上戦が行われた場所としても知られています。終戦間際の1945年3月~7月の約4ヶ月間、沖縄では地上戦が続きました。

ゆりゆりの話の中にあった、地上戦では軍人や兵士の犠牲者が出たのはもちろんですがそれ以上に一般市民の犠牲者数が圧倒的に多かったという事実に、すごく衝撃を受けました。

私も幼稚園位の時に家族で沖縄を訪れたことがあって、「ひめゆりの塔」なども訪れました。でも当時は小さかったので沖縄の戦争について理解できていませんでした。

今回改めてこのイベントで沖縄の戦争の話を聞き、そこまでの大規模な戦争が起きてしまった事、今の綺麗な観光地の沖縄からは想像もつかない事が過去に起きていた事を改めて知りました。

子供たちと共に沈んだ船「対馬丸」

このイベントで心に残っているのは、対馬丸事件についてです。「対馬丸」は、たくさんの子供たちを乗せていた学童疎開の船です。

1944年、沖縄から鹿児島に向かう途中に米軍の攻撃により沈没し、多くの犠牲者を出してしまいました。

当時の対馬丸事件の様子が描かれたこちらの絵は、実際に対馬丸事件で生き残った方が書いたそうで、この絵が飾られている「対馬丸記念館」は、子供達に命の尊さを教え伝えていくために、沈没の60年後に開館しました。

館内には犠牲になった方達の写真や遺品がたくさん展示されていて、その犠牲者のほとんどが小学生の子供達。この事件はたくさんの子供たちの未来を奪いました。

多くの命が奪われてしまった対馬丸事件ですが、世の中にそこまで知られていない事件でもあります。私自身も今回初めて知りました。

芸術を通して沖縄戦を伝える

続いて紹介された佐喜眞美術館も印象的でした。

沖縄戦が終結したのは1945年6月23日。そのため、6月23日は「沖縄慰霊の日」となっています。

ここ佐喜眞美術館の屋上には、追悼の意味が込められて設計された手前が6段奥が23段の階段があります。

また、6月23日の日没線に合わせて、最上段のコンクリートの壁の窓から太陽が差し込むように設計されています。

この美術館に展示されている『沖縄戦の図』が有名な作品で、この絵を展示したいからこそ、館長の方がこの美術館を建てられたそうです。

この図の中には沖縄戦の色んな意味が込められていて、美術館の方に聞けば詳しい解説が聞けるそうなので、私も行った際はくわしく聞いてみたいと思います。

その他にも、かつて日本軍と米軍が激戦を繰り広げた場所など、沖縄で戦争を学ぶことができるスポットを中心に紹介されました。

今回の企画で話された場所はこちらの記事でも詳しく書いているので、ぜひご覧ください。
映えるだけじゃない沖縄~希望のある未来のために戦争を知る~

日常の当たり前を大切に

<対馬丸記念館で、当時の小学校の教室が再現されている>

最後のゆりゆりの話が印象的でした。ゆりゆりはピースボート地球一周の船旅でポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所を訪れました。第二次世界大戦時にナチス・ドイツが行なった大量虐殺で最大の犠牲者を出した収容所です。

ゆりゆりは、この収容所を案内してくれた方が言った「日常の当たり前の幸せを大事にしてくださいね」という言葉が心に残っているそうです。

「日々のできごと、誰かを思いやる事ってすごく小さな一歩に感じるかもしれないけど、その小さな1歩の積み重ねが世界をより良く平和にしていくことに繋がっていくと思います。

戦争によって夢や希望を絶たれた人達がたった70年前、80年前にいた中で、私たちは幸運にも戦争のない国・時代に生まれました。ぜひ自分の心に素直に、抱いた夢や目標にむかって歩んでもらいたいです。

そして、ただ観光地を訪れて美味しいものを食べて、綺麗な写真を撮って…だけではなくて、また違った視点で、もっと過去のことに目を向けて、世界のことを知っていくが大事です。

ピースボートでは、地球一周やツアーを通してこうした戦争や平和について学ぶ機会や、歴史に触れる機会が充実しているので、皆さんが少しでも興味を持ってもらえたらなと思います」

次は自分の目で

<町の中に米軍基地がある>

ピースボートでは、このような勉強会が定期的に行われています。私はピースボートに来てから、このようなイベントに参加する機会があるおかげで、知らなかったことを知ることができるようになりました。

そうすることで、その地に訪れる時には、ただ観光を楽しむというよりも、また違った目線をもって、現地を訪れることができると思います。

また、ゆりゆりが言っていたように誰かを思いやる気持ちは本当に大切だと思います。日本のことだけじゃなくて、世界中から戦争がなくなり、平和な世界になっていくためにも思いやりは大事です。

小さな一歩かもしれないけど、人に対する優しさであったり、思いやりは持ち続けて、平和な世界に繋げていきたいです。

ピースボートでは「地雷廃絶キャンペーンP-MAC」というカンボジアの地雷除去を支援する活動も行なっています。

支援のための募金活動に参加してみるなど、直接私達でも貢献できることはあるので、参加してみようと思います。

今回のイベントを通して、キラキラした沖縄のイメージからは少し変わり、悲しい過去があった事実を知るきっかけになりました。

聞いてる時も聞いたあとも悲しい気持ちにはなってしまいましたが、決して目を背けてはいけない事だと思うので、これからもそういう戦争や歴史などを学べる機会があれば、参加したいと思います。

また、沖縄には絶対に行きたいと思っているので、訪れた際には自分でそういう場所に足を運び、自分の目で見てきたいと思います。

この記事が皆さんにとって、少しでも戦争や平和について考えるきっかけになればいいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

文:水野華月 編集:森田幸子