空爆下のガザの声、パレスチナはいま

こんにちは。ピースボートスタッフの森田幸子です。今回はパレスチナ問題について皆さんに知ってもらいたいと思って書きました。最近、「イスラエルとパレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによる攻撃の応酬が続いている」というニュースを目にした人は多いのではないでしょうか?

5月10日から続いていた、イスラエルとハマスによる双方への攻撃は、5月21日に停戦に入りました。11日間でパレスチナのガザ地区では232人が死亡、1900人が負傷し、イスラエルで12人が死亡しました。さらに多くの人々が住む家を失ったり、心に大きな傷を負っています。報道では「報復の連鎖」と伝えられることが多いですが、それだけではこのパレスチナ問題の本質を理解することはできません。停戦により爆撃が終われば、解決する問題ではありません。

「天井のない監獄」閉じ込められたパレスチナの人々

パレスチナはヨルダン川西岸地区とガザ地区に分けられています。今回、イスラエル軍による空爆を受けたのはガザ地区です。ヨルダン川西岸地区はだいたい千葉県と同じくらい、ガザ地区は東京23区の約半分くらいの面積です。このガザ地区に約200万人が暮らしています。2006年の選挙でハマスが政権を握りました。イスラエルはハマスをテロリストと認定して、2007年からガザ地区を封鎖、人や物の出入りを禁止しました。この状況が14年続いています。

200万人の人々がガザ地区に閉じ込められています。そのためガザ地区は「天井のない監獄」と呼ばれています。イスラエルはハマスを狙って攻撃をしていると言いますが、多くの人々が生活しているガザ地区をこれまで何度も空爆しています。子どもを含む多くの一般市民の上に爆弾が落とされています。今回の停戦後もこのガザの封鎖は続きます。医薬品や建設資材など、復興に必要な物資もほとんど入ってきません。

さらに歴史をさかのぼります。パレスチナ人が暮らしていた土地に1948年イスラエル建国が宣言されたことで紛争(第一次中東戦争)が起き、イスラエルはパレスチナ地域の78%を手に入れました。残った22%がパレスチナ人が住むヨルダン川西岸地区とガザ地区になりました。この紛争により多くのパレスチナ人が難民となりました。70年以上も故郷に帰ることができずに難民キャンプで暮らしています。

1967年の第三次中東戦争後には、イスラエルがヨルダン川西岸地区とガザ地区を占領しました。そして今も占領が続いています。

緊急イベント「空爆下のガザの声、パレスチナはいま」

ピースボートはこれまで、イスラエル・パレスチナを訪れて交流会を開催したり、船上に双方から若者たちを招き、議論の場を提供してきました。また、紛争が激しくなった際には、さまざまなアクションや緊急支援を行なってきました。そして、長年にわたり、イスラエル・パレスチナ双方の人々に対するいかなる暴力にも反対するとともに、対話と平和的手段による国際法に則った解決を求めてきています。

5月21日には、緊急イベントを開催して、ガザとエルサレムに暮らすパレスチナ人から、生の声を聞く機会を設けました。また、中東専門家である高橋和夫さんや、パレスチナ難民の支援にも関わってきたノンフィクションライターの高橋真樹さんにパレスチナの歴史や国際情勢をわかりやすく解説していただきました。

こちらのYouTubeにアーカイブがありますので、ぜひご覧ください。

ガザに住むザヘルさんの家の再建からパレスチナの平和を目指して

ガザ地区に暮らす人道支援活動家のザヘルさんは、ピースボートの船にゲストスピーカーとして乗船してくれたり、ガザの子どもたちへの教育支援や病院への支援活動を一緒に行っている仲間です。そのザヘルさんが住む集合住宅が今回のイスラエルによる空爆で破壊されてしまいました。上記のイベントの冒頭部分で、その時の様子を話すザヘルさんのビデオメッセージがあります。

<空爆で破壊された家に戻るザヘルさん>

ピースボートは、ザヘルさんの家の再建をサポートするための募金活動を開始しました。まずは顔が見える人から支援していく。それは、繰り返される終わりなき悲劇の前で、無力感という敵に負けないよう、つながり、行動していくための大事な知恵ではないだろうか。そんな思いから、議論の末、今回の支援キャンペーンは生まれました。ザヘルさんは、地域コミュティのリーダー的存在です。彼の暮らしを支えることが彼の周りに暮らす人々を支えることにもつながります。

募金にご協力をお願いいたします。くわしくは以下のウェブをご覧ください。

パレスチナの平和のために知る、発信する

21日のイベントにエルサレムから参加してくれたラミさんは、日本の人たちはパレスチナ問題に大きな影響力を持っている、できることがある、パレスチナで起きていることを広めてください、知ってください、SNSで発信してください、と言いました。今、世界でSNSが大きな影響力を持っています。私たち個人個人が手軽にできること。SNSを通じて情報を得て、発信する。多くの人々の関心が、世界を変えていきます。平和をつくる第一歩です。

最後に、イベントにも出演した高橋真樹さんの本をご紹介します。実は以前の記事でもこの本をおすすめしていました。多くの人に読んでもらいたい1冊です。

現代書館「ぼくの村は壁で囲まれた―パレスチナに生きる子どもたち」

一見複雑で難しそうなパレスチナ問題をわかりやすく解説しています。そして、パレスチナの人々の声がつまっています。パレスチナ問題に興味を持った方、ぜひ読んでみてください。

 

ピースボートスタッフ 森田幸子