東日本大震災の時は被災者だった。次はわたしが力になりたい

ピースボート災害支援センター(PBV)台風19号福島災害支援活動に参加して

こんにちは、ピースボートセンターおおさかでボランティアスタッフをしている伊藤野乃です。現在、2020年8月出航の第105回ピースボート「地球一周の船旅」を目標にボランティアスタッフ活動をしています。

私は、2019年10月に発生した台風19号により甚大な被害を受けた福島県いわき市で災害支援のボランティア活動をさせていただきました。

9年前に支えてくれたボランティアの皆さんがいたから

私は現在、大阪でボランティアスタッフ活動をしていますが、出身は宮城県石巻市です。2011年3月11日、東日本大震災で津波の大きな被害を受けた町が私のふるさとです。

震災当時は電気、ガス、水道すべてのライフラインがストップし、日々生きることに必死でした。生まれ育った町は以前の姿が分からなくなる程、瓦礫の山と津波後の泥で溢れ、避難所での生活は寒い中、食糧も毛布も足りず、周りの住民さんと助け合いながらの生活を送っていました。

そんな中、全国から沢山のボランティアの方々が駆けつけて下さり、ピースボートも石巻市で支援活動をおこなっていました。泥かきや家屋の清掃、とても過酷な作業にもかかわらず、地元の方々と明るくコミュニケーションを取りながら活動をしていたスタッフの姿が印象に残っています。

また、避難所での炊き出しでは震災後に初めて温かいものを口にしたと喜ぶ被災者の方々が多く、私もその中の1人でした。明るく会話をすることが難しい人が多かったのですが、ボランティアの方は作業の面でも、気持ちの面でも石巻の人達を大きく支えてくれました。

当時は被災者側としてピースボートのボランティアスタッフの皆さんに助けて頂いたので、今回は支援をする側として、被災された方々の力になりたいと思い活動に参加しました。

福島県いわき市で災害ボランティアに参加しました

1月3~7日の5日間、いわき市で浸水被害にあった住宅の家屋清掃と、避難所での運営サポートをメインに活動してきました。

家屋清掃

いわき市全体で、床上まで浸水した住宅は5,000棟以上。被害件数に対して、ボランティアの手が圧倒的に足りていないのが現状でした。家屋清掃の主な内容は、浸水してしまった自宅の床や壁を撤去して、木材を外へ運び出し、泥を綺麗にかき出す作業です。時には狭い床下のスペースに潜り込み泥だらけになりながらの活動でした。

大切な家に住むことが出来なくなってしまった住民さんの悲しさ、自分の家をボランティアに清掃してもらっているという申し訳なさが伝わってきて、最初はなんと声をかけたらいいのか分かりませんでした。しかし、「素敵なお家ですね、少しずつ綺麗にしていきましょうね」と現場のボランティアリーダーは住民さんに気さくに声をかけていました。

作業終了後、住民さんに笑顔で「あなた方が来てくれて本当に助かった、ありがとう」と声をかけていただいたときには、こちらが元気をもらったのをよく覚えています。

避難所運営サポート

私が活動を行った避難所では、2020年1月時点で、31世帯、約70名の方々が生活されていました。避難所では、避難している住民さんや子供達とコミュニケーションをとることと、避難所となっている体育館内を清潔に保つための細かな作業をおこないます。床の掃除、支援物資の管理、生活用品の除菌等……。ひとつひとつは小さな事でしたが、住み慣れない避難所での不自由な生活をされている住民さんにとって、その作業がいかに必要なことなのかを知ることが出来ました。

私は避難所で生活している小学生の子供達と遊ぶ時間が多く、全力で鬼ごっこをして走り回ったり、ダンボールで家を作ったりしました。子供たちと交流することで、彼らは狭い空間の中で遊ぶことや大きな声を出すことを我慢してきたのかなとも感じました。

年配の方が、「布団が干せたらいいのになぁ」「これから新しく移り住む場所で、どう生活していけばいいんだろう」など、ふとした瞬間に不安や願望を口にする事もありました。狭いコミュニティの中では話す事が出来ない不安や悩みも、外から来たボランティアであれば、吐き出せることもあるのだなと感じ、遊んだり話を聴くことの出来るボランティアの存在は本当に貴重なのだと感じました。

復興には時間がかかるから支援をつづけたい

今回は5日間という短い期間でしたが、本当に貴重で濃い経験ができました。関西に住んでいると、台風被害のことは忘れ去られているようにも感じます。しかし実際に現場を自分の目で見て、身体を動かしてみて、完全に復興するまでは、まだまだ時間と人の力が必要なんだなと改めて思いました。

今回の経験を人に伝えること、自分の手の届く範囲で支援を続けることで継続して福島の方々の力になれれば良いなと思います。

 

文:伊藤野乃  編集:森田幸子

 

ピースボート災害支援センター(PBV)は、今も福島県いわき市をはじめとした国内外の災害被災地で支援を続けています。みなさまのご協力をおねがいします。詳細は以下をご覧ください。

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