ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は、大阪生まれの大阪育ち、大阪アイデンティティを忘れない田中麻衣花です。
田中麻衣花 Tanaka Maika(通称:まいか)
大阪府堺市出身。
邦楽ロックを聞くのが趣味のまいかは、音楽フェスやライブに行くのが好き。最近は、AmazonプライムビデオでSF映画やアニメを見ることにはまっているそうです。
モットーは、人に優しくできる人間になること。「人に優しくできるのは、自分に余裕と自信があることだと思うからです。逆に人に優しくできない時は自分に余裕や自信がない時かなと思います」
ピースボートでは、地球一周に関心がある人や、乗船をめざす人の相談に乗ったり、サポートをしています。
地球一周するきっかけは高校の先生
高校2年生の時、現代社会の先生が学生時代にピースボートで地球一周した話を聞いて、ピースボートを知りました。先生は、淡々とした生活の中で、学生生活このままじゃ終われない!と思ったらしく(笑)、たまたまピースボートに出会い、1ヶ月後には乗船していたそうです。授業中の小話だけにとどまらず、直接先生にお話を聞きに行って、すごくワクワクする地球一周の話を聞かせていただきました。
その時から、私も大学生になったら絶対ピースボートに乗船しようと決めていました。ちなみに、その先生には地球一周する前と帰ってきてから挨拶に行きました。間違いなく先生がいなければ私はピースボートに出会っていないし、こんな感動的な経験や出会いはできなかっただろうと思うので感謝でいっぱいです。
そして、2年生の冬に初めて海外に行ったことも世界に興味を持つきっかけになりました。私の初海外は、修学旅行で行ったイギリス・ロンドンでした。
私はその時、自分の足でその土地を踏み、自分の目で見ることの尊さを学びました。素敵なことも残念だったことも、自分で経験して、自分で記憶しておく。テレビやインターネットで得た情報ではなく、自分で得たことの大切さを感じました。
「もっともっと海外に行きたい。もっと自分の目でその地の空気を吸って、人と出会って、価値観に触れたい。」と思うようになりました。
最後に、高校3年生の世界史の先生との出会いも私の中で大きな出来事でした。その先生は学生時代に、海外でマングローブの植林活動を行うボランティアに参加していて、その活動の話や、色んな国で様々な経験をした話を聞かせてくれました。
自分の経験や体験を自信を持って楽しそうに話す姿が、ものすごくかっこよく見えました。それと同時に、そういった人間に私もなりたいと強く思いました。高校を卒業して、大学生になったら、学生として多くの経験を積もう、そしてその経験を自信を持って人に話せるようになろうと決心しました。
こういった高校生の頃の経験や出会いが、今の私を作ってくれました。ピースボートに乗船したのも、あの頃経験した感覚や、憧れた人や、なりたい自分に近づくためでした。地球一周を経験し終わった今、あの時の決断は間違っていなかったと心から思っています。
一番の思い出は1,000人で楽しんだ洋上運動会
ピースボートに乗船したときの一番の思い出は、洋上運動会の実行委員をしたことです。洋上運動会は、ピースボートの船内企画の中で一番大きなイベントです。老若男女・国籍も問わないこの一大イベントを成功させるべく、実行委員として活動しました。
私の役割は、洋上運動会の核となるチームを支えることでした。運動会では参加者が4つのチームにわかれます。私は緑チームを担当して、優勝するにはどうすればいいか、どうチームを動かしていけばみんなが動きやすいか、みんなが楽しめるにはどうすれば良いかを考えていきました。
最初は、なかなか練習に参加してくれる人数が少なく、「このままだったら過去最低の運動会になってしまう、そうなったらどうしよう」とかなり不安に思っていました。そんな不安はみんな同じで、話し合いながら、どうすれば良いかを試行錯誤する日々でした。
そして本番当日。運動会会場の船のデッキに集まったのは約1,000名!乗船者のほとんどでした。
私は、この1,000名も集まった光景や、参加している人たちの笑顔を絶対に忘れないと思います。「あの時頑張ったことは無駄ではないし、こんなに楽しそうな顔をしてくれる人がいるなら私は頑張ってきてよかった」と、心底思いました。
今でも思い出すと感極まってきます。それほど、大変だったけど、やりがいのある思い出になりました。
知らなかった世界を教えてくれた水先案内人の方々
地球一周することで、私の中で多くの事柄が「0から1」になりました。船内では、各界の専門家(ピースボートでは船旅にちなんで水先案内人と呼びます)の方が船に部分乗船し、講座や講演会を行ってくださいます。私は、そんな専門家の方のお話を聞ける機会はなかなかないだろうと思い、こういった講座に積極的に参加していました。
例えば、こんな話が印象に残っています。
- 国連食糧計画(WFP) の元アジア局長である忍足謙朗さんの講座、
- 鎌田華乃子さんによるコミュニティ・オーガナイジング(市民の力で自分たちの社会を変えていくための方法であり考え方)のワークショップ、
- ドキュメンタリー映画監督である森達也さんのオウム真理教や死刑に関する講演
- 女優の東ちづるさんの多様性やドイツ平和村に関するお話
そこで、かなりのショックを受けました。こうして生きているけれども、まだまだ知らないことがたくさんあるのだと。私が幸せに生きている裏側で、苦しんでいる人がいるのだと、助けを求めている人がいるのだと。知らないだけで、様々な事実があること。
そういったことを知り、ではこの先どう生きていけば良いのか、どう行動すれば良いのか、どう考えればいいのかをかなり考える機会となりました。
私は、こういった、「知らなかったこと」を知り、考えるきっかけを作ることが、世界や社会を変える最初の手段なのだと思いました。「0から1」への大切さを感じます。そして、こういった取り組みがピースボートの本質なのだと知ることができ、改めてピースボートに乗船する意義を感じました。
世界をより良いものにしたいから、多くの人に世界を知ってほしい
地球一周することで、自分の中で大きな「自信」が生まれました。100日という間に、学んだこと、得たこと、経験したこと、出会った人達のこと、全てが有意義でした。その経験が全て現在の自分の自信になっていると思っています。
そして、地球一周を終えて、これからどういう風に生きていくか、どういう大人になりたいかを考えるようになりました。より豊かで、美しい人間に、人生にしていこうと思えるようになりました。
そして、世界を変えたいと思ってピースボートスタッフになりました。先ほども挙げましたが、私はピースボートの本質は「0から1」を起こすことだと思っています。一人一人が、様々な今起こっている事実を「知って」「考える」そのきっかけを作ることが、世界や社会をより良くするものだと信じています。
より多くの人の「知る」きっかけを作りたい、もっと世界や社会をよくしたい、そういった思いが私の原動力となっています。
人生を豊かにする地球一周
正直、ピースボートでの地球一周は、人生の中で一つのイベントに過ぎません。ただ、この先自分がどういう風に生きていくかを考える、大きな分岐点になることは間違いないと思います。地球一周を経験する前と後では、見えるものや自分への思いも変わってくると思います。
私は、このピースボートでの地球一周の経験が、人生をより豊かなものにすると思っています。地球一周を通じての、経験や出会いが、皆さんの中で素晴らしいと思えるようになることを心から願っています。
文:田中麻衣花 編集:森田幸子