「きっかけは海外に行きたいという想いだけ」関美衣

ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は元動物看護師の関美衣です。

関美衣 Seki Mie (通称:アニマル)

大阪府出身

好きな言葉はハクナマタタ(スワヒリ語で意味は「大丈夫。なんとかなるさ」)

アニマルの趣味はマンガを読むことで、CLAMP の描く作品がお気に入りだそうです。ジブリ映画も好きで、その中でも「もののけ姫」が一番!高校の3年間は器械体操をやってたので今でも体がやわらかいのがちょっと自慢なアニマルです。

そのニックネームのとおり、動物大好きな元動物看護士。現在はピースボートおおさかのTELかけボランティアを担当しています。

将来の夢は「世界一周」

中学の時、先生の教え子が総合の授業に来てピースボートに乗船した体験を話してくれました。そのとき初めて船で海外に行くという選択肢があることを知りました。もともと、海外に行きたい、世界一周したいと漠然と思っていました。今思えばお父さんが飛行機で世界一周したことがあってその話を聞いてたから、世界一周を結構身近に感じていたかもしれません。

そして、動物関係の専門学校に通っていた頃、研修でケニアに10日間ほど行きました。目の当たりにしたケニアの人々の生活、自然の雄大さ、野生動物の世界に衝撃をうけました。国立公園を車で走っていると転がっている動物の骸骨、サバンナのど真ん中で気球から見下ろす景色や、果てが見えないほどのヌーの大群から聞こえてくる足音など、ただ圧倒されました。

 

同じ地球上にこれほど違う場所が存在してる

そして、私たちと違わない人が生活してる

 

そんな体験を経て、もっと世界を知りたいと思いました。なので、専門学校の卒業アルバムの将来の夢には「世界一周」と書きました。

地球一周には学びや気づきが詰まっていた

4年後には仕事をやめるタイミングでその夢を叶えて、ピースボートで地球一周しました。はじめはお金がなかったので諦めていましたが、ボランティアスタッフの制度を知って、割引を貯めて乗ることができました。

ノルウェーのおじいちゃんが教えてくれたこと

ノルウェーで案内してくれたおじいちゃんたちと。一番左がアニマル。

昼下がりのノルウェー、一人で丘を目指して歩いていました。突然声をかけてくれたおじいちゃんが、孫2人とともに私を丘まで案内してくれることになりました。その後もまったく英語が話せない私を一日案内してくれて、はじめは私を警戒していた子どもたちとも仲良くなりました。この経験で、人の優しさや言語だけではないコミュニケーションを身をもって知りました。

「あなたはあなたのままでいい」

クルーズ中の船内ではいろんな企画があったり、参加者自身もその運営に参加していたりで、周りの人達は活発に忙しくしていました。私はこのままでいいのか?何かもっとしなければいけないのか?と、人と比べて悩んだこともありました。そんな時、声をかけてくれた人がいました。

彼女とはクルーズ中同じ部屋で約100日間を過ごしました。私たちは同じ船にいるけど全然違う過ごし方をしていました。彼女ははじめは部屋にいることが多かったけど、徐々にいろんな企画に参加したり、クルーズ一の盛り上がりをみせる洋上運動会では積極的に運営に関わるようになっていました。私はその逆でちょこちょこと企画には参加してたけど、大きな行事には関わっていませんでした。

彼女に悩みを打ち明けたことがあります。

 

「私はもっと知りたいことや学びたいことはあるのに教えてと言うことができない。その人の時間を私が奪うことになったらイヤだから。でもそんな自分の性格が好きじゃない」

「それは相手のことを考えてるってこと。すごいことだよ!アニマルはアニマルのままでいいんだよ」

 

彼女はそう言ってくれました。私がマイナスと思ってることをプラスと考えてくれる、そういう考え方でもいいんだ、そのままでいいんだって思えた瞬間でした。

「歴史」が暗記する科目から未来を考えるための知識に変わった

多くの人々がヨーロッパ中から列車に詰め込まれてこの収容所へと送られた。生きて出ることができた人はほとんどいない。

負の世界遺産アウシュビッツへ行くツアーにも参加しました。ここは第二次世界大戦時、ナチスドイツによるユダヤ人絶滅政策で最大の犠牲者を出したポーランドにある強制収容所です。ピーセンでの勉強会でアウシュビッツのことを聞いて興味を持ち、数少ないアウシュビッツから生還した方の話を聞けるということで選びました。

行ったことで、落ち込むのかな、怖いかなと考えていましたが、そんなことはありませんでした。 ツアーに同行したスタッフや、アウシュビッツ唯一の日本人ガイドである中谷さんの話を聞き、現在や未来について考えるきっかけをもらいました。そして、一緒にツアーに参加した参加者と話すことで、どう感じたか共有できたことはとても大きかったです。 ここで、暗記でしかなかった歴史が未来に繋がる知識となりました。

ピーセンおおさかは地球一周へのきっかけがいっぱいある場所

ポスターを持ってピーセンおおさかを出発!

今私がはたらいているピーセンおおさかは、私が乗船前にボランティア活動としてポスター貼りをしていた場所でもあり、実際に船に乗ることを決めた場所でもあります。たくさんの出会いや、学びがある場所なので、これからもたくさんの人の地球一周へのきっかけとなるようなピーセンをつくっていきたいと思います。

世界中で学ぶことで私の世界も大きくなった

船内や寄港地で太鼓を披露。

地球一周してからは世界が広がりました。私が行ったことあるあの国のあの場所がニュースで報道されている。大丈夫だろうか?と考えたり。乗船されていたヒバクシャの方から話を聞いたことをきっかけに、広島や長崎の平和式典に参加したりもしました。船内で100日かけて太鼓を練習して外国で発表したり。アウシュビッツに行って歴史を知ることの大切さを教えてもらったり。私自身が船旅で得たものが多く有ります。

もともと、人と関わるより、好きな動物と関わって生きていきたいと考えていた私が、話をすることや聞くことが好きになり、学ぶことが楽しくなりました。そんな地球一周の船旅はこれからも続いてほしいから私はここにいます。

だから、あなたも一緒に学びや気づきがいっぱいの船旅に出発しましょう!

 

文:関美衣 編集:森田幸子