こんにちは、ピースボートセンターおおさかの野々村修平です。
気が付くと新年もあっという間に1ヶ月が過ぎ去り、街の正月の雰囲気も一変してしまいましたね。
さて2月といえば、「バレンタイン」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
購買意欲がそそられる、華やかで色とりどりのチョコレートがずらっと店頭に並べられています。
実は日本は、年間約28万トンのチョコレートを消費する世界第3位のチョコレート消費大国なんです。
今回は、バレンタインに欠かすことができない「チョコレート」に焦点を当てて記事を書いていきたいと思います。
世界のバレンタインデー
2月14日のバレンタインは、世界的に見ても夫婦や恋人が共に過ごす日だと周知されています。
その一方、女性が男性にチョコレートを贈るという文化は、日本や韓国などの一部の国に限定されているようです。
イスラム教徒が多く住む国では、バレンタインにプレゼントを渡す行為さえも禁止されているところも一部あります。元々バレンタインはキリスト教のイベントで、イスラム教徒が祝うべきではないというのが理由のようです。
またアメリカやフランスでは、男性から女性に対してプレゼントを渡したり、メキシコではバレンタインデーが母の日の要素を持っており、母親にプレゼントを贈る日と位置づけられています。
このように、恋人に限らず大切なひとへの感謝や自分の気持ちを伝える日が、バレンタインと認識されているようですね。
日本にいては中々感じることができない文化の違いです。
あなたが手に取ったチョコレートは、どこで誰が作っている?
周りを見渡してみると、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、百貨店と様々な場所で海外から輸入された商品が売られていますね。
輸入品がとても安く売られているな、と感じたことはありませんか?
先進国で販売されている格安の食品などは、コストを抑えるために物価や人件費の安い開発途上国(発展途上国や単に途上国ということもある。これ以降、途上国と示す)で作られたものを輸入していることがよくあります。
チョコレートもその一つです。そして、チョコレートの生産に欠かせないものがカカオ豆です。
世界で取引される7割以上のカカオ豆は、西アフリカで生産されています。「ガーナチョコレート」と聞くとご存知の方も多いと思いますが、ガーナも西アフリカに存在する国です。
日本で安く売られているチョコレートは、家族単位の小規模な農家で作られていることがほとんどです。
カカオ豆の生産は、カカオの収穫から、発酵、乾燥を行います。しかし、小さな農家では労働者を雇うことができないため、18歳未満の子どもたちが重要な労働力とされ、児童労働が強いられていることも多くあります。
このような過程を経て、チョコレートは海を渡り、私たち消費者の手へと渡っていきます。
「なぜ、こんなにも安く売られているのだろうか?」
「手に取った商品は、どこで誰が作っているんだろう?」
と、一度考える時間を作ってみてください。
先進国と途上国ってどのように決められているの?
「先進国や途上国と聞くと、なんとなくしか分からないんだけど…」という声が聞こえてきます。難しいポイントになるので簡単に解説していきます。
途上国は経済が「発展する途中にある国」を表しています。一方先進国は、経済発展により「先進的な水準に達している国」を表します。
これらを分ける指標として、OECD(経済開発協力機構)が発表している「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」というものがあります。
OECDは3年毎にこのリストを発表しており、リストに記載されている国はODA、つまり経済発展のための援助を先進国から受け取る資格を持っています。
このような支援を受ける国々を途上国と呼んでいます。
経済が未発展の途上国は、工業化の遅れが目立ちます。また農業や漁業といった一次産業に大部分を依存しています。
つまり、国民一人当たりの所得は低くなり、不安定な暮らしを余儀なくされています。
一方の先進国は、工業化が進み、電気・水道・交通・通信などのインフラが整備されています。もちろん医療や教育も充実し、国民の生活の多くは安定しています。
厳密にいうと、先進国だからといって貧富の差がないというわけではありません。
先進国は、途上国への経済・技術的な支援を施している側の立場となります。
ここからわかることは、経済支援を施す側の先進国=有利な立場、ということです。
世界の貿易の不平等をなくす取り組み「フェアトレード」とは?
「フェアトレード」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
フェアトレードは英語で“Fair Trade”、日本語では「公正な貿易」という意味を表します。
途上国でつくられた製品を適正な価格で継続的に売買することで、立場の弱い途上国が不利になるような取引をなくそうという国際的な取り組みです。
この場合の適正な価格とは、
1)生産者の労働の対価として見合う金額
2)生産者が安定した暮らしを送ることができる金額
を意味します。
先進国が優位な立場に立ち、生産者を無理に働かせたり、環境破壊につながるような農業を行わないようにすることがフェアトレードの目的の一つです。
フェアトレードは消費者にもできる身近な国際協力
フェアトレードを推進する商品には、ラベルが取り付けられていることが多いです。
それらのラベルについて見ていきます。これらは、大きく分けて三種類に分類されます。
国際フェアトレード認証ラベル
原料が生産されてから、輸出・輸入され、加工・製造されてから製品となるまで過程における、国際フェアトレードラベル機構が示した基準を満たしている商品につけられるマーク。
WFTO (世界フェアトレード連盟)保証マーク
世界フェアトレード連盟という組織の基準(WFTOに加盟し生産者の労働条件・児童労働・環境などに関しての基準)を満たしている団体であることが保証されるマーク。(「一番下の「GUARANTEED FAIR TRADE」のすぐ上にあるのがそのマーク)
そのほかのフェアトレードマーク
他にもフェアトレードに取り組む機関が独自に基準を設けており、それらの基準を満たした製品につける独自のマークが作られています。
「フェアトレードマーク」で検索してみてください。いろんなマークが出てくると思います。またマークがなくてもフェアトレードの表記があるものも。
消費者がフェアトレードの商品を選んで購入することが、目には見えない生産者の暮らしを支援することにつながります。
つまりフェアトレードは、消費者にとって身近に取り組むことができる「国際協力」のひとつです。
「国際協力」をチョコレートを選ぶ基準に
近年は、街中で見られるようになったSDGs(持続可能な開発目標)を指標とした企業が増えてきたことで、フェアトレードへの認識が強まってきました。
しかしながら、私の個人的な見解では、日本でのフェアトレードに対する認知度は決して高いとは言えません。
どのようなことも、まずは「知る」ことから始めてみてください。
私たちが目にしている世界は、ほんの世界の一握りでしかありません。
しかし、今回の事例のように「ものを消費する」際にその背景を考え、「ものを生産する」立場の方々の生活を考えてみる、このような多角的な視野をもてるようになると、世界は何倍以上にも深みが出てくると思っています。
ちょうどこのブログはバレンタインデー前に執筆しているので、ぜひこれからチョコレートの購入を考えている方がいたら、商品を手に取るとき、「どこの誰がつくっているのだろうか?」と思い浮かべてみてください。
もちろん、女性の方々に限定してお伝えしている訳ではありません。
冒頭にも述べたように世界的に見たら、女性が男性にチョコレートを送るという文化自体が主流ではありません。
今年は男性のみなさんも大切な方に向けて、チョコレートを送ってみてはいかがですか?
大切な人に送るからこそ、あなたが納得のいくような製品を購入してみてくださいね。
ピースボートセンターおおさか 野々村修平