もう1つの「世界一幸せな国」デンマークの教育

人生を豊かにするためのギャップイヤーをピースボートの地球一周ですごしてみませんか?

こんにちは、ピースボートスタッフの村上佑理 です。今日は、私が地球一周した中でもっとも心に残ったデンマークの社会制度を紹介したいと思います。

世界幸福度ランキングが発表

国連は2012年以降、毎年「世界幸福度報告(World Happiness Report)」を発行しています。153の国と地域で調査がおこなわれ、今年3月20日に公表された世界幸福度ランキングの上位10か国はこのようになりました。

1 フィンランド
2 デンマーク
3 スイス
4 アイスランド
5 ノルウェー
6 オランダ
7 スウェーデン
8 ニュージーランド
9 オーストリア
10 ルクセンブルク

上位は、北欧の国々が占めることとなりました。ちなみに日本は62位です。1位のフィンランドについてはこちら↓の記事にも詳しく紹介しているので、ご覧ください。

人生を豊かにするデンマークのユニークな社会制度

今年2位のデンマークは、過去には3度も世界幸福度ランキング1位になっています。デンマークも「世界一幸せな国」の1つです。北欧の国々は福祉や教育が充実していることが知られていますが、わたしがデンマークで知った「ギャップイヤー」や「フォルケホイスコーレ」という制度が社会に組み込まれていることも、人々が幸せを感じることに大きく関わっているように思います。

<自然に囲まれた学校・フォルケホイスコーレ>

ギャップイヤーとは大学就学前の一年をめどに、正規教育から離れてボランティアや、インターン、旅、留学などをおこない、自分を見つめ直したり、将来やりたいことを探すこと。今後の人生を豊かにするため、英国で生まれた制度です。そして、フォルケホイスコーレは、「人々のための学校」という意味があり、このギャップイヤーの間に通うことのできる教育機関です。

フォルケホイスコーレは、試験や成績が一切なく、民主主義的思考を育てる場です。また、全寮制となっていて先生を含めた全員が共に生活をし、対話を通して他者理解や自己理解を行います。そして自分のやりたいことや将来を見つめなおす、自由な学びの場です。

コペンハーゲンにある自由な学びの学校を訪問

わたしは地球一周したときに、このフォルケホイスコーレを見学するツアーに参加しました。訪問したのは、デンマークに69校あるうちの1つで、首都コペンハーゲンにある「クロロップホイスコーレ」でした。

学校は緑豊かな開放感あふれる場所に位置しています。到着するとクロロップホイスコーレの先生であるガーバさんから講義を受けました。ちなみにガーバさんは、水先案内人(船に乗船する各界の専門家)として船にも乗船してくれ、平和を育むための教育の力をテーマに講義をおこなってくださいました。身振り手振りを使ったり、講義の方法もとてもユニークでした。

<案内をしてくれたガーバさん>

「クロロップホイスコーレ」では、クロッシングボーダー、ジャーナリズム、社会学、写真や映像、世界情勢を学ぶコースがあります。クロッシングボーダーは外国人向けのコースで、授業は英語で行われます。世界中で起きている紛争など、もともとの仕組みを学んだり、起業について考えるコースだそうです。

社会に広がったフォルケホイスコーレの精神

クロロップホイスコーレでは、3人の卒業生からお話を聞く機会もあり、ここでの経験を語ってくださいました。エクアドル出身の卒業生の言葉をご紹介します。

「自分が興味を持っていることについて学べると知って、ここで勉強しようと思い、5ヶ月間のプログラムを受けました。エクアドルでの教育法はシステム化されていて、律儀で、反復作業ばっかりで、批判的に考えたり物事について深く考えたりといったことをあまりすることがありませんでした。

フォルケホイスコーレですごしたことで、世界観や視野がひろがりました。何よりも人生について語り合えたことが重要で、ここは生きることについて学ぶ学校でした。世の中をよりよくするために、自分に何ができるのか、考えるきっかけとなりました」

彼女はフォルケホイスコーレを卒業後、レバノンやガザやヨルダンなどの難民支援に関わったり、国際開発を勉強するために学校に通ったりとチャレンジしました。そして今は、人権問題に取り組む国際NGOで働いています。

フォルケホイスコーレは当初、デンマーク国内に192校あったそうですが、現在は69校に減っているそうです。減少は決して悪いことではなく、よい変化です。その理由は、このフォルケホイスコーレの考え方が今では、学校や企業にも取り入れられるようになったからです。

フォルケホイスコーレやギャップイヤーのような制度が、日本でも教育や社会に取り込むことができれば、人生の幅を広げ、豊かになるきっかけになるのではないでしょうか?

地球一周しながら将来を考えよう

私はこのツアーに参加して、フォルケホイスコーレについて知ると共に、ピースボートの「地球大学」に繋げて考えました。地球大学は「キャンパスは地球!」をテーマに、ピースボートの船旅を活用しておこなっている国際教育・平和教育プログラムです。地球大学も受験はなく、学びたい人は誰にでも開かれている学びの場です。

寄港地での現場体験と船上でのゼミを組み合わせたユニークなプログラムで、旅をして実際に自分の目で見たり経験することから学びを深めています。船では様々なバックグラウンドをもつ人と朝から晩まで語り合うことができるのも、地球大学ならではだと思います。

フォルケホイスコーレも地球大学も、受講する目的は自分が何をしたいかを考えたい、将来を見つめ直したい、自分を変えたい……というようなものであると思います。そして、実際に目で見て体験し学びに繋げるという点も似ていると感じました。

最近、ピースボートに乗船することも、みなさんにとってギャップイヤーなのではないかなと思うことがあります。地球一周しながら将来のこと、自分がやりたいことを考えてみませんか?

 

ピースボートスタッフ 村上佑理

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