「迷ってる時間にも意味がある!これでいいんだ!」亀田彩香

ピースボートセンターおおさか(ピーセンおおさか)ではたらくスタッフを紹介します。今回は、粘土菌と友達の亀田彩香です。

亀田彩香 Kameda Ayaka(通称:かめ)

出身地は福岡県田川郡の山と田んぼに囲まれた田舎。

かめちゃんの特技は手作業でのものづくり。小さいころから畑の土でいろいろ作るのが好きで、最近は主に水粘土を使って立体作品をつくっていたそうです。マイブームはその日のうちには寝ることと、朝日を浴びながらの全力ラジオ体操。

<「ねじる」をイメージした台と洋なし>

好きな漫画はうめざわしゅんの「パンティストッキングのような空の下」。「生きづらさを感じながら生きている人たちの描写が、生々しく力強く描かれています。はまる人にははまる漫画を超えている漫画」だそうです。

すきな言葉は「立ち上がって たたみなさい 君の悲嘆の地図を」。イギリスの詩人オーデンの言葉です。自分が崩れ落ちそうなときに隣で支えてくれている、そんな言葉だとか。

ピースボートでは、問い合わせを頂いた方への電話対応をしています。地元が同じ人や、年齢が近い人などは話が盛り上がりすぎて、気づけば1時間話し込んでいたことも(笑)。

ぜったいに海外に行く!

色んな世界を見たいとは高校の時から思っていました。地理の先生が、中国を卒業旅行で行ったときの思い出話や、先生の友達がアメリカに2年行き英語ぺらぺらになって帰ってきた話がたいへん面白く、「高校卒業して大学生になったら絶対に海外に行く!」と決めていました。

ですが受験に敗れ、地元でプー太郎に暮れていました。ある日、たまたま知り合った人にワーキングホリデーの存在を教えてもらい、海外に住めるやん!となりました。そこで色々とワーホリのことを調べていたら、ピースボートならボランティア活動の分だけ船賃の割引を貯められて、世界一周に行けるということを知りました。

「え、無料で世界一周行けるってほんと?ボランティアってなにやるん?」と思ってピースボートセンターふくおかに足を運びました。そこで話を聞いて「地球一周めっちゃ面白そうやん!」となって10ヶ月後のクルーズに申し込みました。割引を貯めればワーキングホリデーよりもお金がかからないし、色々な国を巡れる。なによりもスタッフの人柄が面白くて私はピースボートを選びました!

大変だったけどみんなのおかげで船賃全額割引を達成!

<ピーセンふくおかの仲間が祝ってくれました>

バイトとの兼ね合いで、出航の5カ月前からのボランティア活動でしたが、ひたすら福岡と佐賀でポスターを貼り、3カ月半で全額割引を貯めることができました!

週4〜5日のポスター貼りと週2の夜勤バイトをやっていたので、たまに狂いそうにもなりながら、それでも一緒にポスターを貼りに行く仲間、待ってくれているスタッフ、そしてなによりも「うちに何枚でもポスター貼りぃ!」「頑張ってね、応援しとるばい!」って応援してくださったお店の方々のおかげで、駆け抜けることができました!

ピーセンふくおかという場所も最初は人見知りしてましたが、2〜3回通うと、すんなりと馴染めました。第二の家族のような居心地良い場所でした。どんな人でも受け入れてくれる姿勢だからでしょうね。今は大阪にいますが、たまにはピーセンふくおかに帰りたくなります。

地球一周の思い出いちばんは香港のエスカレーター

普段から耳かきが大好き。100日間の地球一周なのに、まさかの綿棒を忘れました!と思ったら、50日くらい経ったタイミングで自分のダンボールの中から綿棒を発見!50日ぶりの耳かきはたまらなく気持ち良かったです。めちゃとれました。

イースター島のモアイに出会えて感動したり、エジプトのピラミッドの大きさに圧倒されたり、めちゃめちゃ透明なカリブ海に潜ったりしましたが、一番衝撃を受けたのが、香港のエスカレーターが尋常じゃなく早いスピードだったこと!日本の1.5倍くらい早いので勇気を出して一歩乗る感じでした。

<オーストラリアでFREEHUG(フリーハグ)>

地球一周に行く前は、きっと人生が変わって、将来やりたいことも見つかって帰ってくるんだろうなと期待して乗りました。乗船して、世界は広いんだ!自分はなにも世界のことを知らないんだ!と気づきました。でも、期待していたほど自分自身は変わらなかったです。いまでも相変わらずネガティブで自己肯定感は低いです。でも、少し成長したかな。今も日々成長はしているのかなと思います。

あと、地球一周中に出逢えた仲間たちは一生の宝ものです!

私を含めて、ピースボートの船に救われた若者はいっぱいいる

小さい頃から社会に溶け込めずにいた

私は小さい頃から「変人」「変わっている」「アブノーマル」など言われてきました。自分でもそう感じてはいるけど、他人からの方がそう感じるのでしょうね。協調性とか空気を読むとかほんとうに苦手な社会不適合者です。

小・中学校までは個性として認められてはいましたが、高校は進学校に入学したことで、他人との協調が本当に無理になりました。よくサボっていたし、1ヶ月以上サボって絵の塾に通っていたこともあります。高校に思い入れがなかったので卒業式もいかなかったし、すぐに制服やカバンなどは捨てました。

<外国人女性をデッサン、モチーフ3種で平面構成>

東京藝大の受験勉強をかなり本気でやっていたので、高校に行っている時間もないとも思っていました。そして受験に失敗したあたりから、自分のことが嫌いになりました。他人のことも嫌いでした。一番嫌いなのは大学に行って楽しそうにしている人たちでした。

自分はこれから何をしていこう?何をやりたいのか?モヤモヤしていました。

RADWIMPSとピースボートとの出会いが転機

そんな時、「18祭」でRADWIMPSとコラボする機会がありました!18祭とは、NHKが年に一度開催しているイベントで、動画審査で選ばれた1000人の17〜19歳がアーティスト1組と楽曲をコラボして、その様子はNHKで放送されます。RADWIMPSがこの企画のためにつくった新曲「万歳千唱」と「正解」を一緒に歌うことができました。

18祭に参加している人たちは、しっかり夢を持っている人もいれば、自分のようにモヤモヤしている人、学校にまともに行けなかった人、2歳児のシングルマザー、吃音症のサッカー少年、トランスジェンダーなどほんとうにいろんな人がいて、こんなに苦しいのは自分だけじゃないんだ!でもしっかり生きているんだ!ってわたしに光を与えてくれました。18祭が行われた2日間はいままでの人生の中で最も最高な瞬間です。

その時の様子はYouTubeで公開されてるので、見てみてください。

【18祭】「万歳千唱」RADWIMPSと1000人の18歳、魂のステージ
【18祭】「正解」RADWIMPSと1000人の18歳、感動の歌声

そんなこんなで、少しは前を向けそうになった時にピースボートに出会ってさらにもっといろいろな人に出逢い、迷っていることはむしろ当然のことなんだ!迷っている時間にも意味があるんだ!別にこれでいいんだ!って思えるようになりました。

船やピーセンはいろんな人の居場所ですし、ピースボートの船に救われてきた人はたくさんいるし、私もその一人だし、きっとこれからもそういう若者がいるから、私はピースボートスタッフになったし、船を出し続けたいと思っています。

生きづらい日本でも誰かの居場所をつくれたらいいな

ピースボートはどんな人でも認めてくれるような場所だと思っています。こんな自分でも認めてくれたような場所ですから。学校とも会社とも家庭とも違う不思議な空間です。みんながあたたかく迎え入れてくれる居場所です。気になっているなら一度遊びに来てほしい!

海外に行く手段はいっぱいあります。別にピースボートじゃなくてもいいのです。でも、行った地域のことを1つでも良いので学んで帰ってきてください。訪れた場所の文化や宗教など、世界のことを肌で感じることは、現地の言葉を学ぶよりも大切だと思うのです。

自分ひとりの力だけじゃ、生きづらい日本を変えることはできないけど、誰かの人生が少しでも楽になったらいいなと思っています。

 

文:亀田彩香  編集:森田幸子