モーリシャスの貴重な自然環境をとりもどしたい!

ピースボート災害支援センター(PBV)がモーリシャスの重油流出被害に対する緊急支援募金をおこなっています。

インド洋に面するアフリカ国家のモーリシャス共和国は、世界屈指のリゾート地として有名です。世界中から観光客が訪れます。新型コロナの感染拡大による観光収入の減少により経済的な打撃を受けていた中で、7月25日に日本企業が所有・運航する貨物船「わかしお」が座礁。この事故によって1,000トンの油がモーリシャスのサンゴの海に流れ出しました。今回の事故による生態系への影響は数十年に及ぶという推測も出されています。

ピースボート災害支援センター(PBV)は、モーリシャスの貴重な自然環境の回復を支援するため、緊急支援募金を立ち上げました。寄付金は、現地NGOのモーリシャス野生生物基金(Mauritian Wildlife Foundation)など、現地で環境保護に努めている団体の活動にあてられます。皆さまのあたたかいご寄付、ご協力をお願いいたします。詳しくはこちらのウェブサイトをご覧ください

 

ピースボートは、地球一周の船旅でもモーリシャスを訪れて、美しい自然を楽しみ、歴史をまなび、人々と交流してきました。第100回地球一周の船旅で2019年1月にモーリシャスを訪れたスタッフ2名がその時の体験談を寄せてくれました。

事故は「遠いインド洋の島」じゃなくて「身近な世界」でおこっていること/平林昂我

ピーチティーをくれたお姉さんの島

こんにちは。ピースボートスタッフの平林昂我こと通称こんぶです。2019年1月15日朝、モーリシャスのポートルイスという港に入港しました。天気は晴れ。さすがは南半球、1月とは思えない暑さ。

右下にちょっと見えるコンクリートの部分が港。そこからヤシの木が続いています。この日は仲間5人で自由行動。基本行き当たりばったりでして、その日も思い付きで「今日はあの山に登ろっか!」と行先が適当に決まりました(笑)。多分写真の一番右の山に登ったんだと思います。イバラだらけの半分崖みたいなところを何とか登り頂上へ!

朝見上げていた山から、通ってきた町、そしてインド洋を見下ろす。視点が変われば見え方も変わる、旅には小さな気づきがたくさん詰まっているような気がしました。

途中、水が切れて干からびそうになっていたところ、なんと!現地のお姉さんがピーチティーをくれました!

<手に持っているのがお姉さんからもらったピーチティー。となりのおじさんはこの話には関係ありません(笑)>

言葉が通じないながらも感じた、人と人との繋がり。僕の中でモーリシャスは「インド洋に浮かぶ遠い島」から「ピーチティーをくれたお姉さんがいる自然豊かな美しい島」に変わりました。何気ない出会いが世界を身近なものにしていくんだと思います。

モーリシャスの海を取り戻すために僕にできること

時が経つにつれ日本では報道も少なくなりつつありますが、海から重油が消えたわけではありません。今後も爪痕は長い年月残り続けます。少しでも出来ることをやっていく。僕に出来ることはそこで過ごした時間、体験を共有することだと思っています。

今回伝えたかったのは「想像よりもずっと世界は身近だ」ってこと、そして重油事故は「身近な世界で今起こっていること」です。少しでもモーリシャスを身近に感じてもらえたら嬉しいです。またいつの日か、モーリシャスがきれいな海を取り戻せるように皆さんの力を貸してください。

また会いたい人たちが暮らすモーリシャス/德永涼子

私たちをあたたかく迎え入れてくれた女性たち

はじめまして!普段、横浜のピースボートセンターで勤務しています、德永涼子です。みんなからはほたると呼ばれています。最近ではリゾート地として華やかなイメージがあるモーリシャス。しかし、その裏側では貧困問題も深刻です。私は、女性たちの経済的自立をサポートする団体と子どもを支援する団体を訪れるツアーに参加しました。

女性を支援する団体で出会った女性はコップを売っていました。そのコップを日本にいる祖母へのお土産にしたいと伝えると、彼女は祖母の名前を入れてくれました。そして「いいプレゼントね」と優しく微笑みかけてくれました。

子どもの支援団体では、最初は人見知りしていた子どもたちも徐々に打ち解け、しまいには顔にペイントしてくれるまでになりました。言葉こそなかなか通じませんが、笑いながらこっちだよ!と引いてくれた彼女の手のぬくもりと愛おしい笑顔は、私にとってかけがえのない旅の土産です。

海外に行くこと自体が難しい経済状況の中で生きている彼らにとって「外国人」と交流できる機会は、ピースボートの訪問以外あまりありません。私たちの訪問に目を輝かせて喜んでくれたみんなを、昨日のことのように思い出します。モーリシャスで、また会いに行きたいと思える、友だちがたくさんできました。

友だちが住んでいる島を守りたい

<モーリシャスのポートルイス港出港。名残惜しい瞬間です>

重油事故の報道を見たとき、真っ先に彼らの顔が思い浮かび、いてもたってもいられませんでした。何かできることはないかとSNSやニュースをたどり、まわりに発信することから始めました。「友だちの居場所が危ない!」と。

重油を摂取してしまった魚を食べていないか? その後の現地の様子はどんな感じなんだろう? 最近テレビでの報道などが減っていて、知らない人たちもいるのではないか? と日々考えています。

私の友だちが住んでいるあの島国を、故郷を一緒に助けてください。寄付やこういう情報を拡散してもらえることでモーリシャスの状況は変わっていくと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 

 

文:平林昂我、德永涼子  編集:森田幸子